社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ分類を! メールで顧客との「接点拡大」どうしたら狙えるか?セオリーは?〈その3〉(大関暁夫)

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まずは相手が欲しがる情報、喜ぶ情報の提供を心掛ける

   D管理先およびE管理先は、インサイドセールス部隊が担当します。

   インサイドセールス部隊は、メールでの接点拡大を基本戦略とするのが一般的。そして、担当する段階で必須情報となるのが、顧客リスト作成の際にヒアリング項目に挙げた交渉相手の担当者名とメールアドレスになります。D管理先、E管理先に関しては、まずは相手先のメールアドレスの入手に注力してください(〈その1〉〈その2〉も参考のこと)。

   さて、インサイドセールス部隊の担当となるのが、上記のC、D、E管理先です。取引実績があったかなかったか、あるいは、いつあったかについてはバラつきがあっても、少なくとも相手の担当者が自社の名前を知っている。または、名前を聞いたことがある可能性は高いわけで、担当者宛に情報メールを送った場合、全く取引実績がない先に比べて、読んでもらえる可能性は高いといえます。ならば、メールで接点拡大を狙わない手はないわけで、彼らをインサイドセールスのメインターゲットとし、情報メールの定期送付を企画するのがセオリーです。

   では、どのようなメールを送るのがいいのでしょうか。

   この段階で売りたい気持ちがはやって、自社の製品やサービスの売り込みや、押し付けがましい商品紹介のメールを送ったのでは、何の意味もありません。自社と大きな取引がない、あるいは、前回の取引から間が空いている相手に対して、強引な売り込みをかけるなら相手はひいてしまうもの。今後、こちらからのメールを2度と開けてもらえないかもしれません。場合によっては、「今後メールを送らないで欲しい」と、自社からのメール拒絶の意思表明をされてしまうかもしれません。

   情報メールの基本は、相手が欲しがっていると思しき情報、あるいは、相手が喜ぶであろう情報、タダで受け取ってお得感のある情報です。具体的には、相手にとって何がしかの役に立つような自社サイドの業界情報。または、どの会社の担当者も読みたいと思うであろう自社の製品やサービスを活用したコスト削減のヒントや、自社製品やサービスを使って収益に貢献したような他社の具体的事例など、です。

   この手の情報は、営業部門内の各担当者が持っているかもしれませんし、技術部門がお客様の役に立つ情報を握っているかもしれません。過去の情報でも、相手にとって未知の情報であれば、それは有益です。したがって、営業部門は常に社内でのコミュニケーションを密にして、情報のアンテナを立てる必要があるのです。営業担当は社外的にはもちろん、社内でも良きコミュニケーターであるべし、との意識をもって日々の活動をすることが大切です。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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