「どうもペラペラ喋るセールストークに乗せられて、必要がなさそうなオプションばかり付けられた気がする」
携帯電話ショップで契約を済ませた後に、釈然としない気持ちで店を出た経験がある人も少なくないだろう。やはりというべきか、携帯ショップ店員の3割がお客に必要以上に「高いプラン」を勧誘した経験があることがわかった。
総務省が現役の店員および元店員から聞いた「覆面調査」で明らかになった。携帯電話会社大手の公然とした「ルール」破りはそれだけではない。いったい、どういうことか。
今回は「店員覆面調査」の詳細が明かされなかった
総務省は2022年4月25日、携帯電話の「競争ルールの検証に関するワーキンググループ」と「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」の合同会合が開いた。その席で事務局が実施した2つの「覆面調査」を発表、ともにホームページ上に公開した。
その1つが「キャリアショップ店員に対するアンケート調査」(覆面調査)だ。現職197人・元職228人の計425の携帯電話ショップ店員に匿名で販売の実態を聞いた調査で、昨年(2021年4月)に続き2回目の実施となる。ところが今回は、メディアを含む一般の人々には調査結果の詳細は隠されている。
J‐CASTニュース会社ウォッチでは昨年4月27日付で「やっぱり携帯電話ショップはお客をなめきっていた!『高い料金プランに勧誘』が4割以上」と、前回の携帯電話ショップ店員らに対する「覆面調査」の結果を報じた。当時の記事を読むとわかるが、この時、総務省は店員らの生々しい声を詳細に公開していた。
しかし今回は、「サンプル数が限られていることや、ウエブアンケートという手法の制約により、実態を正確に反映できていない可能性があることに留意が必要。詳細な調査結果については、販売現場への影響を考慮し、構成員及びヒアリング対象者限りとする」として、店員らの具体的な声は非公開とした。
だが、この説明は釈然としない。昨年の調査もウエブアンケートだし、サンプル数は昨年が412人、今回が425人だから、どこが違うのか。携帯電話料金値下げをスローガンに掲げ、携帯電話大手に強い姿勢で臨んだ菅義偉政権から、岸田文雄政権に代わり、携帯電話大手に対して何らかの「忖度」が働いているのか、と想像するのはうがちすぎだろうか。
それはともかく、総務省が「概要」だけ公開した「キャリアショップ店員の覆面調査によると、「お客の利用実態に合わない、あるいは利用実態を確認せずに高い料金プランを推奨したことがある」と回答した人は3割。「不要と思われるオプションやアクセサリーを推奨したことがある」人は、それぞれ3割、2割だった。
こうした営業の背景について確認すると、「店長や上司からの指示」が5割、「販売代理店」の経営層からの営業目標」が6割、「キャリアからの営業目標」が4割、「自己判断」が1割という結果だった。
自由記述の中では、次の4つの「声」だけが公開された(総務省事務局が要約)。
「営業目標を期限内に達成しないと店の存続ができなくなる」
「目標を達成しないと給料の減額・降格となる」
「毎朝の朝礼で個人の目標達成具合が読み上げられる。自分だけ契約を取っていないと居場所がなくなる」
「全案件に全商材を提案するように指示される」