日本クレジット協会が2022年3月31日に発表した2021年のクレジットカードの不正利用被害額は330億円と2000年以来の300億円台乗せとなり、過去最高額を更新した。
偽造カード被害は減少も、それ以上に拡大する「番号盗用被害」
クレジットカードの不正利用被害額は2000年の308.7億円をピークに減少を続け、2012年には68.1億円まで減少した。しかし、2013年からは再び増加に転じ、2021年に330.1億円(前年比30.5%増)と大幅に増加した=表1。
2021年の不正利用被害額の内訳は、偽造または変造されたクレジットカードによる不正利用額が1.5億円(同81.3%減)、クレジットカード番号などの情報を抜き出して不正に決済された番号盗用被害額は311.7億円(同39.4%増)、紛失・盗難カードなどによるその他不正利用被害額は16.9億円(同21.0%減)だった。 クレジットカードの不正利用はここ20年間で大きく変化している。2003年の被害額271.8億円のうち164.4億円が偽造カードによるもので、被害額の60.5%を占めていた。
だが、偽造防止技術の進歩などにより、偽造カードによる被害は減少の一途を辿った。半面、不正利用の手口として大きく増加したのが番号盗用で、2021年の被害額の割合を見ると、偽造カードが0.5%だったのに対して、番号盗用が94.4%を占めている=表2。
クレジットカードの偽造による被害は、これまで60~70%が海外での被害であったが、2021年には国内被害額が0.8億円(53.3%)、海外被害額が0.7億円(46.7%)と、わずかながら逆転し、国内被害額が多くなった。
番号盗用による被害もこれまで60%台だった国内被害額が2020年に初めて70%台となり、2021年には311.7億円の被害額のうち、国内が235.2億円と75.5%を占めた。
とくに番号盗用による国内被害額が増加した背景には、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外旅行など海外への渡航が大幅に減少したことも関係していそうだ。さらに、外出自粛などにより、通販やネットショッピングでの物品購入が増加したことも関係している可能性がありそうだ。