半導体の影響、いつまで続くのか?
それでは、SUBARUにおける半導体不足の影響について、おさらいしておこう。
少し前の話だが、株式市場にとってネガティブサプライズとなったのは、2月7日に発表した2022年3月期連結決算の業績予想の下方修正だ。なにしろ、日本の完成車メーカーでこの時点で利益予想を下方修正したのは、SUBARUのみだったからだ。
下方修正は次のような内容だった。
売上高は従来予想比2000億円減の2兆7000億円、営業利益は従来予想より500億円減の1000億円、最終利益は従来予想より350億円減の750億円。営業利益は、わずかながら前期実績(1024億円)を下回る減益予想に転じた。修正の理由としてSUBARUは、「半導体の供給不足緩和を見通して挽回生産を計画していたが、想定を上回る半導体供給不足の影響が継続しているため」と説明した。 SUBARUは他メーカーに比べ、中国や東南アジアなどを含めた新興国向けの供給が少なく、販売先は日本と北米で全体の9割近くに達する。新興国向け車種は供給制限を受けにくい半導体を利用するケースが多いとされており、日米中心のSUBARUのダメージはより大きくなるようだ。
世界的な半導体不足は2022年後半には収束に向かうとの見方が多いものの、ロシア市場の蒸発を招いたウクライナ情勢やガソリン高といった先行きの読めない事態も同時進行している。SUBARUを含めた自動車メーカー各社は、かつてない手探りの経営が続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)