新入社員は「これをやらなきゃ!」「何をやればいいのだろう?」と、思ったり考えたりする傾向が強いものです。社会情勢的に企業の経営も厳しくなり、業務のスリム化が進んでいます。
「まんべんなく何事にも取り組む」という姿勢より、「何に取り組むか」を明確にするほうがいまの社会ニーズに合っています。では、何をすべきなのでしょうか。
「すぐに結果を出す新入社員は、『これ』だけやっている」(伊庭正康 著)秀和システム
いまのことより「未来への準備」を!
プルデンシャル生命の調査(2020年)に、次のような結果が示されています。20~79歳の男女2000人(全回答者)に、「今年の生活満足度」について聞くと、「非常に満足」から「不満」までの5段階で、「非常に満足」と回答している人の割合は、だいたい15人に1人しかいなかったのです。日本では終身雇用は崩壊し、年収は下がり続け、年金も期待できません。この結果は実態を照射しているともいえるのです。
「だからといって『お金を貯めましょう』『財テクをしましょう』といった、そんな当たり前のことを言いません。それは、それでやればいい、それ以上のものではありません。20代で『基盤』をしっかりと作っていたことが大切です。20代で作っておくべき基盤は、大きく分けると3つに絞れます。『ノウハウ』『人的なつながり』『バイタリティ』です」(伊庭さん)
「それって、あなたの主観じゃないの、と思われたかもしれません。でも、何度、検証を繰り返しても、この3要素に行きつくのです。1つでも欠けると、やはりうまくいかない。『ノウハウ』と『人的なつながり』だけだと、踏ん張りが効かないし、いくら『人脈』や『バイタリティ』があっても『ノウハウ』がなければ、結果を出せません」(同)
決して難しい話ではありません。20代を漫然と過ごすと、「満足できない生活が待っている」と考えることが大切なのです。
仕事が面白くなければ人生はツマらない
「仕事はツラいけど、家族のために割り切っている」と言う大人は多いものです。皆さんは仕事に対してどのように取り組んでいますか? 伊庭さんは次のように言います。
「ある研修プログラムの中で、受講者に尋ねる質問があります。『仕事をどのようにとらえているか?』です。回答(1)は『レイバー』(ツラいものであり、生活するには仕方がないこと)、回答(2)は『ワーク』(仕事なので、やらないといけない)、回答(3)は『プレイ』(仕事は、面白いもの)。会社で輝いている人は、(3)『プレイ』と回答します」(伊庭さん)
伊庭さんは、「プレイ」になると、いい意味で、仕事とプライベートの境界はなくなってくると言います。日常のできごとも「コレ、仕事に活かせないかな」と考えたり、「時間が空いたので、専門書を読んでおこうかな」「学校に行こうかな」「電車を待つ時間で、考えを整理してみようかな」と、仕事とプライベートの境目がなくなってくるというわけです。
そして、この感覚を身に着けた人は、必ずや「ノウハウ」を資産にすることができるのです。「工夫を加え、新たなチャレンジ」をする。これを習慣に取り入れることで、どのような仕事でも面白くすることができるはずです。
会社を居場所にしてはいけない
会社を愛することは、とてもすばらしいことです。ただ、会社と自分を切り離して考えなくてはなりません。でないと、自分の理想通りにならなかったとき、たまらなくツラい状況になるからです。いまの自分にとって、何が必要なのかを考え、取り組むテーマを決めることが、心に平穏をもたらしてくれるでしょう。
希望の職種につけなかった、部署に行けなかった、思ったような評価をもらえなかった......。そんなときこそ、新しい学びを得る機会があるものです。20代で遭遇するすべての出来事は、すべて糧に変えることができると考えて、行動するようにしましょう。
(尾藤克之)