若者を中心としたナショナリズムの高まり
コロナ禍で海外旅行ができなくなり、国内旅行に目を向ける中国人が増えているという。
中島さんは、中国のSNSを見て、「コロナ禍によって、中国人が自分の住む省や市以外の地に関心を持ったり、心を寄せるようになった」と感じている。
こうしたナショナリズムの高まりに、1章割いている。2021年8月末、遼寧省大連市に「盛唐・小京都」という観光スポットがオープンしたが、1週間で営業休止に追い込まれた。総面積約63万平方キロに約60億元(約1068億円)をかけて、京都と唐の時代の街並みを再現したビッグプロジェクトだが、ネット上で「日本の文化侵略だ」などの批判が高まったためだった。
しばらくして、名称から「京都」を外し、日本の色合いを薄めて再開されたが、若者を中心としたナショナリズムの高まりの例として紹介されている。日本など海外を褒めること=中国を貶すことだと曲解され、猛烈な批判を浴びるようになったという。こうした傾向は、コロナ禍をきっかけに強まったようだ。