社員が休まない前提で業務体制を組む会社はアウト
――たしかに、そもそも投稿者に業務のしわ寄せがこなかったら、投稿者もこれほど悩まなかったかもしれませんね。
川上さん「そう考えると、妊娠による休業で業務に支障が出る職場環境をつくり出している責任は会社にあります。これは産育休に限った話ではなく、社員が休みを取得しづらい状況にあることすべてに関わる話です。
たとえば有給休暇は、2019年から年10日以上付与される社員には最低5日以上取得させることが義務づけられています。このような法律が定められる背景には、そもそも社員が休まない前提で業務体制を組んでいる職場環境があります。
土日と祝祭日などを差し引くと、年間の勤務日数はおよそ240日です。だから社員1人あたり240日勤務する計算で業務体制を組んだとしたら、それは誤りです。年10日の有休が付与されるのであれば、それらをすべて取得する可能性を踏まえると230日で想定する必要があります。
ベテランなら、有休は年20日付与されます。また、人によっては産育休や介護、ケガ、病気などで休むこともありえます。それらを加味し、社員が休む前提で業務体制を組まなければ、社員が休みを取るたびに業務のしわ寄せが発生することになります。その結果、社員は休みを取りづらくなってしまうのです。土日や祝祭日と同様に、有休など休む権利が付与されている日数も勤務日数として計算に入れてはいけないはずです。
付与された権利によって発生する休みが業務のしわ寄せを生んでしまうのは、社員が休まない前提で業務体制を組んでいる会社側の責任だと思います」