責められるべきは、業務のしわ寄せが発生してしまう職場環境
――なるほど。ほかに、産休育休やその手当を取得して辞めていった人がいるという意見が相次いでいます。そういう人たちが、女性の社会進出の足を引っ張っているという批判です。
川上さん「それはそれで、正直な感情なのだと思います。しかし、妊娠した後輩は加害者で、投稿者さんをはじめとする周囲の社員は被害者という図式が発生してしまっている状態が望ましいとは思いません。
業務のしわ寄せがいく投稿者さんたちは、確かに被害者だと思います。しかし、妊娠した後輩は加害者なのでしょうか? 大きな誤りは、後輩を加害者だと見なしてしまっていることです。本質的な問題は、業務のしわ寄せが発生することにあります。責められるべきは、妊娠によって業務のしわ寄せが発生してしまう職場環境の方だと思います」
―― 一方で、投稿者こそ「心が狭い」「入社直後の妊娠を否定しては、女性進出の足を引っ張っている」と批判する意見も少なからずありました。
川上さん「入社直後でも産育休が取得できることと、産育休の取得によって業務のしわ寄せが発生することと、『心が狭い』ことは、それぞれ別の話だと思います。
入社直後でも産育休が取得できることは、何も責められるべきことではありません。一方、業務のしわ寄せによる負担の発生を不満に思うのは、当然の感情です。『心が狭い』という表現が、投稿者さんのどんな感情に対して向けられているのかによって変わってくるのではないでしょうか。
もし投稿者さんが、後輩の妊娠自体に妬むような気持ちを持ってしまっているのなら、『心が狭い』という表現が当てはまる可能性はあるかもしれません。しかし、業務のしわ寄せによる『負担』を不満に思う気持ちに対して『心が狭い』という表現が使われているとしたら、それは適切ではないように感じます。