円安が急激に進んでいる。2022年4月20日の外国為替市場で円相場は一時、一気に1ドル=129円台まで下落した。130円台も時間の問題だろうか。
いったい、日本経済はどうなるのか。そんななか、東京商工リサーチが4月19日、円安が企業の経営にとってプラスなのかマイナスなのか、「円安に関するアンケート調査」を発表した。
「プラス」と答えたのは約4%しかなく、「マイナス」が4割(39%)に達し、重大なリスクと危機感をつのらせる企業が多かった。
経営にマイナスのトップ3は「繊維・衣服等卸売」「食品」「家具」
報道をまとめると、4月20日の外国為替市場で、円相場が約20年ぶりに1ドル=129円台まで下落した。まず19日の米ニューヨーク市場で128円90銭台まで下落したが、その後の豪シドニー市場で129円10銭台をつけた。2002年4月以来の円安水準だ。その流れを受け、20日の東京市場では1ドル=129円31銭をつけ、1ドル=129円台で取り引きされる事態になった。
4月18日に日本銀行の黒田東彦総裁が、国会で「急速な円安はマイナス」とけん制して「口先介入」を試みたが、空振りに終わったかたちだ。
東京商工リサーチの調査によると、「円安は経営にプラスか、マイナスか」を聞くと、「マイナス」と回答した企業は約4割(39.6%)に達した。「プラス」は3.9%で、「プラス・マイナス両方」が26.9%、「影響はない」が29.5%となった=図表1参照。
1ドル=113円台で推移していた昨年(2021年)12月の調査では、「マイナス」と回答した企業は29.2%だったから、急激な円安進行に伴い、4か月で10ポイント以上悪化したことになる。
規模別では、「マイナス」は大企業が34.8%に対し、中小企業は40.4%で、中小企業が5.6ポイント上回った。一方、「プラス」は、大企業が5.6%に対し、中小企業は3.7%で、円安は大企業のほうにやや有利に働いているようだ。
業種別では、「繊維・衣服等卸売業」(77.5%)、「食品製造業」(71.0%)、「家具・装備品製造業」(70.8%)の3業種で「マイナス」と回答した企業が7割を超えた=図表2参照。このほか、「木材・木製品製造業」(68.4%)、「飲食料品卸業」(63.6%)と続く。
最も望ましい円相場は「1ドル=110円」
原材料などの仕入を輸入に依存する業種を中心に、原油高に加えて円安がジリジリと経営への痛手になりつつある。すでに、コロナ禍で業績回復が遅れた企業が多いだけに、円安がコスト高を招くかたちで追い打ちをかけている。
また、「経営にとって望ましい円相場は1ドルいくらか」と聞くと、全体の中で最頻値の円相場水準は「1ドル=110円」だった。円安が経営に「マイナス」と回答した企業の望ましい最多レンジは「110円以上115円未満」の42.5%だった。希望レートより1ドル=14円~19円も円安が進んでいることになる。
調査は、2022年4月1日~11日にインターネットによるアンケート調査を行い、有効回答5398社を集計、分析した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業とした。
(福田和郎)