「円安」はユーロに対しても加速する
ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト上野剛力志氏も円安は、ドルに対してもユーロに対しても加速するという立場だ。上野氏のリポート「1ドル130円接近、円安進行に歯止めはかかるか?」(4月20日)では、こう述べている。
「今後も円安基調が続く可能性が高い。インフレ抑制を急ぐFRBは5月に利上げペースを加速し、資産圧縮も開始する見込みだ。日米の金融政策の違いがさらに際立ち、円安圧力になるだろう。また、実需の円売りをもたらしている原油高についてもロシア産原油離れによる構造的な需給逼迫懸念が背景にあるだけに、是正される見込みは乏しい」
「つまり、今後も積極的に円を買う理由は見当たらない。(中略)従って、ドル円は近く130円を突破し、3か月後も現在より円安に留まると見ている=図表2参照」
一方、円安はユーロに対しても加速するとみられるという=再び、図表2参照。
「今月に入り、ユーロは利上げで先行する米国のドルに対して売られたものの、円売りの勢いが勝ったことでユーロ円は上昇し、足元では139円台前半にある。今後もウクライナ情勢の緊迫化によるユーロ圏経済の減速懸念がユーロの重荷となるが、(金融)緩和の終了とその先の利上げを見据えるECB(欧州中央銀行)と緩和継続を掲げる日銀の姿勢の差は明確であり、ユーロの支援材料になる。3か月後の水準は現状比でやや円安ユーロ高と予想している」
つまり、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに舵を切った米国と同じ構図なのだ。