ロシアがウクライナに侵攻して1か月が過ぎた。楽天証券の「マンガでわかる相場格言 投資のお作法」には、「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」の解説が掲載されている。
遠くで発生した戦争は売り材料となりにくいが、近くで発生した戦争からは被害に遭う可能性があるので売り材料となりやすい、との意味。たとえば、第一次世界大戦(1914年~1918年)では、戦禍に見舞われた欧州から遠い米国や日本では「特需」が発生。日本に近い朝鮮半島で起きた「朝鮮戦争」(1950年~1953年)でさえ、「高度経済成長」への助走に繋がる特需が発生していたのだが......。
一方、軍事衝突に巻き込まれて経済的な被害を負う当事国や周辺国の株式は下落する可能性が高いと考えられている。周知のとおり、ウクライナ危機で日米欧は同時株安の様相だ。
開戦から20日、日揮HD株は46%アップ!
ロシアのウクライナ侵攻で資源価格や穀物価格が上昇している。モノの価格にハネ返るので、世界的にインフレ懸念が高まっている。
そんななか、会社四季報の最新銘柄レポート(2022年3月16日号)をめくっていると、すでに現在200株を保有している、日揮ホールディングス(HD)に目がとまった。同社は、石油や天然ガス系プラントのエンジニアリングで、国内最大手だ。プラント設計や資材調達から建設までを一括で請け負うEPC(設計=Engineering)、調達=Procurement、建設=Constructionの3つの事業)が主力業務で、「中東、東南アジア、北アフリカなどの海外案件が大半。製油所や天然ガス処理施設、石油化学プラントなどを手掛け、なかでもLNG(液化天然ガス)プラントは世界4強の一角」とある。
さらには、石油・天然ガス系プラント以外にも、洋上風力発電や小型原子炉の開発、バイオ燃料開発、廃棄プラスチックから水素製造(2025年度にも実用化)など、今日の市場テーマ「SDGs(持続可能な開発目標)」に関わる事業にも携わっている。
そんな日揮HDの株価は、2020年3月の678円を底に、21年12月まで1000円を挟んで底値固めをした。そこから上昇に転じ、今年3月14日の昨年来高値1622円まで急上昇している。
ロシアのウクライナ侵攻が始まったのが、2月24日。期を一にして日揮HDの株価は20日足らずで、1078円(翌25日の終値1078円)~1577円(3月15日終値)まで、500円(46%)の大幅な上昇を記録した。どうやら、保有する200株の売りどきを探るタイミングが来たようだ。
日揮HD株には「当てはまる」!
ウクライナ危機による資源価格の高騰でLNGの調達環境が変化し、日揮HDの受注機会も拡大することが予想される。今後、欧州を中心に天然ガスの調達先がロシアから北米、中東など他地域へと切り替わる動きが本格化し、日揮HDも中長期的にはLNG案件が増加するのではないかと思われるのだ。
こうした状況をみると、「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」の格言は、今回の日揮HDには、当てはまっているといえそうだ。
石油や天然ガス系プラントの復興事業以外にも、SDGsにそった技術開発を手掛ける日揮HDだが、2022年3月期は420億円の赤字決算を底に来期は2.1%増益を予想。これを参考に、息の長い株価上昇を期待したい。
現時点では、来期の業績改善を参考に、平均取得単価1033円の約2倍の2000円での売却を考えている。
【日揮ホールディングス】(1963)
2022年4月20日現在 保有株式200株(平均取得単価1033円)
昨年来高値2022/3/14 1622円
昨年来安値2021/8/23 885円
直近 終値2022/4/20 1552円