どうなる? 日本料理のグローバル化
最後の章は、日本料理のグローバル化について考察している。
日本を含めて世界の味覚のストライクゾーン、誰もがおいしいと思う食材は何か、と問うている。奥田さんが、パリ店、ニューヨーク店を出した経験から、「一番のど真ん中にあるのはサーモン」だと断言している。
もう一つ、日本的なものでいくと、マグロの「中トロ」だという。逆に、白身魚の刺身や野菜のお浸しなどは、ストライクゾーンはかなり低めで、世界的にはボールだそうだ。これらを総合し、
「日本料理のバリエーションは世界的にみて高めの料理よりも、低めのストライクゾーンに位置する料理が多い」
と結論づけている。
しかし、日本料理が日本料理であるために、素材を生かした繊細な味付けや、シンプルな料理法など、根本的なものは何一つ変えない――つまり、日本料理のストライクゾーンをぶれずに伝え続けていきたい、と結んでいる。
コロナの終息を機に、また世界から美食を求める人たちが日本にたくさん訪れることを奥田さんは確信している。
(渡辺淳悦)
「日本料理は、なぜ世界から絶賛されるのか」
奥田透著
ポプラ社
979円(税込)