値上げの背景に「企業努力で吸収可能な余力を超えている」
値上げ率が15%と最も高いのが、酒類・飲料(744品目)だ。焼酎類はサトウキビなどから作られる粗粒アルコールの価格高騰の影響が大きい。一方、ワインは、輸入ワインが物流費の高騰と円安のダブルパンチを受けたため、値上げ幅が大きくなった。
菓子(431品目)は、ジャガイモの不作のほか、油脂、砂糖といった原料高、包装資材の高騰が響いた。乳製品(400品目)は、乳牛の飼料であるトウモロコシの価格高騰と、中国国内で健康食品としての「チーズ人気」が高まり、世界的に輸入チーズの消費が拡大したことが影響している=図表3参照。
それぞれ、さまざまな事情がからんでいるわけだが、帝国データバンクでは、
「これまで食品メーカーでは、大多数が値段を据え置いたまま内容量を減らす『ステルス値上げ』でコストアップに対応してきた。しかし、世界的な食料品相場の上昇に加え、原油価格の高騰に伴う物流費と原材料費の値上がり、為替でも円安傾向が続くなど全方位でコスト増が続き、企業努力で吸収可能な余力を超えていることが、今年以降価格への転嫁をせざるを得ない背景としてあげられる」
と分析している。
(福田和郎)