なぜ過去最高の中学受験者だったのか?
「週刊ダイヤモンド」(2022年4月23日号)の特集は、「わが子に最強の中高一貫校&小学校&塾」。受験情報にも定評のある同誌が、コロナ禍で受験者が急増した中学入試の動向を徹底分析している。
激しさを増す小学生の中学受験。首都圏の受験者数は5万1100人と、これまでのピークだった1991年を上回り、過去最高となった。受験校と塾はどこを選ぶべきなのか、選び方を伝授している。
今年の傾向について、森上教育研究所の森上展安代表は、「22年入試は、共学校、とりわけ東京23区の受験者増が著しい」と話している。
また、SAPIXの広野雅明教育情報センター長は、大きく2つの特徴があるとしている。1つは立地のよい名門伝統校の復活だ。京華や暁星、獨協、跡見学園、実践女子学園など、好立地の伝統校が受験生を集めていること。
もう1つは、グローバル教育を重視する学校の人気だ。渋谷教育学園幕張、同渋谷や広尾学園、かえつ有明、三田国際学園、開智日本橋学園、広尾学園小石川といった、海外留学や海外大進学を見据えた教育が売りの学校の受験者が増えているという。
中学受験が過熱する理由として、コロナ禍によって、公立中学の教育に対する不安が広がったことが挙げられる。また、学校選択の多様化が進み、必ずしも難関校志向ではなく、わが子にあった教育環境を選ぶ親が増えているという。
大学付属校のブームには、ちょっとした異変があったようだ。
早慶付属校の多くが持ち直した一方で、MARCH系が軒並み受験者数を減らし、変わって東洋大京北や専修大松戸といった中堅私立大の付属校が受験者数を伸ばした。両校とも他大学への進学実績もあり、内部進学と他大学受験の両にらみが可能な「半付属校」人気が続きそうだ、と見ている。
都立中高一貫校の倍率は軒並み下落した。一時は10倍近くまで高騰したことがあるが、22年は10校中9校で倍率5倍を切る異常事態となった。
その原因は、「適正検査」という公立校特有の入試の難しさが広く知れ渡ったからだ、と安田教育研究所の安田理代表は指摘している。
適正検査とは、国語、算数、理科、社会を組み合わせた教科横断型の出題形式で、知識よりも思考力や論述力が問われる。ちなみに、都立校受験組の「おこぼれ」を取り込むべく、私立でありながら適正検査を模した入試問題を出題する「便乗型」の中高一貫校が台頭しているというから面白い。
関西はどうか。中学受験者数は1万6892人と前年から187人減らしたが、受験率は9.74%で前年から0.1ポイント増と、13年以降最も高い数字となった。ついに関西へ中学受験ブームが到来、と見る関係者もいる。
中身を見ると、灘などの難関校が軒並み志願者を減らすなど、これまでとは異なる傾向があるという。中堅校の雲雀丘学園、三田学園が志願者を伸ばした。
中学受験に欠かせないのが、「塾」の存在だ。四谷大塚、日能研、SAPIX、早稲田アカデミーの四大塾の合格者数の一覧を掲載している。子どもの学年や目指している学校の難易度によって選ぶべき塾は変わるそうなので、参考になるだろう。
さらに、中学受験以上に加熱している小学校受験にも触れている。小学校受験は親の「デキ」が合否を分けるという声を紹介している。面接や願書を通じて、家庭の学校への理解度や教育方針、教養が確認されるからだ。塾選びの情報も豊富だ。