プーチン大統領「経済制裁は失敗した」は本当か? エコノミストが指摘...ロシアに勝っても西側諸国の代償大きい理由

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中国がロシアへの経済制裁の「抜け穴」に?

   一方、中国がロシアへの経済制裁の「抜け穴」になっているのでは、と指摘するのは第一生命経済研究所主席エコノミストの西濵徹氏だ。

   西濵氏のリポート「中国はロシアの経済制裁の『抜け穴』になっている模様~沿海部での行動制限は輸入の重石となるも、ロシアからの輸入はその影響を受けず堅調に推移~」(4月13日)では、今年3月の中国の対ロ輸入額だけが突出して増えていることに注目した。前年比プラス26.4%と高い伸びを示し、輸入全体がマイナス0.1%と減少したのと対照的な動きがみられたのだ=図表3参照

(図表3)中国の対ロ輸出額の推移。全体では昨年より減少しているのにロシアだけが伸びている(第一生命経済研究所の作成)
(図表3)中国の対ロ輸出額の推移。全体では昨年より減少しているのにロシアだけが伸びている(第一生命経済研究所の作成)

   西濵氏はこの動きの背景をこう説明する。

「輸入全体に下押し圧力が掛かっている背景には、(中略)長江デルタ地域や珠江デルタ地域を中心に新型コロナウイルスの感染再拡大の動きが広がり、サプライチェーンに悪影響が出ていることも影響しているとみられる。長江デルタ地域や珠江デルタ地域は海外貿易の要であり、これらの地域におけるロックダウンによる活動制限の長期化は今後も貿易活動に悪影響を与えることは必至と見込まれる」

   ところが、ロシアとは国境が地続きだから、鉄道や陸路を活用できるのだ。

「ロシアとの貿易を巡っては鉄道をはじめとする陸路やパイプラインなどが活用されており、上海のロックダウンによる直接的な影響が及びにくいことも影響しているとみられる」
「ロシアとの貿易取引が円滑に進められれば、ロシアにとっては欧米諸国などによる経済制裁の『抜け穴』となる状況が続くと見込まれる。貿易決済を巡っては、中国人民銀行による人民元建国際銀行間決済システム(CIPS)による『抜け穴』も予想されるなど、中国が様々な面でロシアとの結び付きを強める可能性は高まっていると判断できよう」
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