2022年4月から大きく変わった「住宅ローン控除」...家買いたい人にどんなメリットが? 専門家が仕組みと内容解説!【1】(中山登志朗)

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   2022年も4月を迎え、コロナの感染拡大が収まらない中、そして、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で新年度が始まりました。

   不動産業界においては、住宅ローン減税制度が2022年4月から、年末元本の1%控除から0.7%控除へと控除率が引き下げられたのが大きな変化と言えるでしょう。

  • どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)
    どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)
  • どうなる「住宅ローン控除」?(写真はイメージ)

住宅ローン減税は控除率が0.7%に引き下げ

   この制度変更によって、事実上初めて、新築と中古住宅の住宅ローン控除に差が生まれています。

   控除率の引き下げは、もともと住宅ローン金利負担分以上の控除が実施されていて、いわゆる「逆ザヤ」の状態にあることが、会計検査院から指摘されたことを受けたものです。

   たしかに、現在の住宅ローン金利は変動金利で0.3~0.4%台、固定金利(35年)でも1.2%程度。ですから、利用者の70%を超えるとされる変動金利で借り入れている方は、1%の控除によって「利益」を得ることになる、という指摘はあながち間違っていません。

   会計検査院の指摘をそのまま受け入れれば、年末に住宅ローンの金利負担分を算定し、上限を設けたうえで、その金額を確定申告によって控除すればよいはずですが、手続きの煩雑さを考慮したのか、国は一律0.7%に控除率を引き下げました。

   つまり、現状の変動金利で住宅ローンを借り入れる前提であれば、0.7%に引き下げられても「逆ザヤ=金利負担分以上の控除」は依然として発生する余地が高く、自分が住むための住宅が買いやすい環境であることには何も変化はないと言えます。

中山 登志朗(なかやま・としあき)
中山 登志朗(なかやま・としあき)
LIFULL HOME’S総研 副所長・チーフアナリスト
出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。
2014年9月から現職。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任する。
主な著書に「住宅購入のための資産価値ハンドブック」(ダイヤモンド社)、「沿線格差~首都圏鉄道路線の知られざる通信簿」(SB新書)などがある。
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