3月の既存店売上高、前年同月比6.1%増と好調
一方、高島屋が決算発表に先立って4月1日に発表した3月の既存店売上高は前年同月比6.1%増だった。
3月は下旬にまん延防止等重点措置が解除されたことで、消費者が店頭を訪れる機会が増えたことが寄与した模様で、3月のなかでも後半がより好調だった。ただ、この時に高島屋の株価は力強く上昇ということにはならず、その後の営業利益の下方修正には、はっきりと下落で反応することになった。
こうした株価の動きについて市場では、足元で新型コロナの新規感染者数が下げ止まり傾向にあり、「リバウンド」が懸念されていることが上値を重くしているとみられている。まん延防止等重点措置の発動にいたらなくても、あまり感染者が増えるようだと、外出を控える高齢者が多くなるのではないかという見立てだ。
昨年末、百貨店で衣類の売上が増えた要因の一つが、「久しぶりに知人との食事会に着ていくため」という「需要」があったことは関係者の共通認識だ。逆に、安心して出かけられない状況は、需要を底上げしなくなる。ウクライナ情勢の悪化に伴う資源など、さまざまな価格の上昇も消費意欲に影響しそうだ。
さらに、全体として株価が下落傾向にあることも、富裕層の懐に痛手となる可能性もある。今後の高島屋の株価には、これらの要因も影響する可能性がある。(ジャーナリスト 済田経夫)