G7声明で急きょ、「段階的な縮小」の具体策作り
日本が後手の対応に追い込まれた背景には、日本政府の準備不足がある。関係者を取材すると、政府は直前まで、石炭などエネルギー分野の制裁強化を回避できると考えていた節がある。ある政府要人は、EUの石炭禁輸方針が明らかになると、「日本とEUとでは事情が違う。同調することはない」と周囲に明言していたほどだ。
それがG7声明で急きょ、「段階的な縮小」に向けた具体策作りを迫られた。萩生田光一経産相は4月8日の閣議後会見で、「できる限り産業にご迷惑かけないような方向の中で、制裁に協力していきたい」としたが、輸入縮小、そして最終的なゴールである禁輸に向けたスケジュールは描けていないのが実情だ。
すでに欧州などはロシア産石炭の禁輸を見越し、代替先探しを加速している。岸田首相も「早急に代替策を確保する」としているが、出遅れた感は否めない。
代替先探しが難航すれば、その弊害は日本経済のあらゆる場面に及ぶ恐れがある。岸田政権が甘い見通しで判断を誤ったことのツケが、今後、日本にのしかかってくる可能性がある。
(ジャーナリスト 白井俊郎)