円安加速、1ドル=126円台! 政府の「市場介入」あるか?...エコノミストは「効果」に期待薄、「それよりやるべき対策」とは

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   円安が止まらない。急激な物価上昇を抑えるため利上げを進める米国では、金利が高いドルを買い、円を売る動きが加速。

   ついに2022年4月13日、外国為替市場で円相場が下落、1ドル=126円台という約20年ぶりの円安ドル高水準をつけた。

   そんななか、政府要人の「円安けん制発言」が相次いでいる。財政当局の「円買いドル売り介入」はあるのか。「やっても効果はない」とエコノミストたちの目は厳しいが......。

  • 加速する円安
    加速する円安
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鈴木財務大臣の「円安けん制発言」を甘く見る市場

   鈴木俊一財務大臣の連日の「円安けん制発言」が注目を集めている。

   報道によれば、4月12日の閣議後の記者会見で、急速な円安の進行について「為替の安定は重要」としたうえで、「とくに急激に変動することは望ましくない」と述べた。そして、「最近の円安の進行を含め、為替市場の動向や日本経済への影響を、緊張感を持って注視する」と強調。

   また、「為替レートは市場において決定されるものであり、過度の変動や無秩序の動きは経済や金融の安定に悪影響を与える」「アメリカなどの通貨当局と緊密に意思疎通をはかりながら、適切に対応していきたい」とも述べ、市場介入もあり得ることを匂わせた。

円安ドル高が進むと...(写真はイメージ)
円安ドル高が進むと...(写真はイメージ)

   翌4月13日、衆院財務金融委員会でも、野党議員の質問に「とくに最近の円安の進行を含め、市場の動向や日本経済への影響を、緊張感を持って注視したい」と従来どおりの答弁を繰り返した。

   こうした鈴木財務相らの度重なる「円安けん制」発言から、市場では政府が円買い為替介入に踏み切る可能性が意識されている。だが、はたして市場介入はできるのだろうか。エコノミストの多くは懐疑的だ。

   今の状況は「円安というよりドル高だから日本側の対応で食い止めるのは難しい」と指摘するのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

   木内氏のリポート「20年ぶりの歴史的安値水準が目前の円の対ドルレート」(4月13日付)のなかで、こう説明する。

「3月末以降はドルが主要通貨に対して独歩高の様相を強めている。背景にあるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め策が、金利、量の両面から加速する、との観測が強まったことだ。現状は、円安というよりもドル高の傾向が強いのである。日本側の要因によるところが少ない分、日本側の政策対応によって食い止めることがより難しい円安ドル高になっている」

   従来は「リスク回避の円買い」と言われ、リーマン・ショック時などの世界的危機の際には、円高になったものだ。「円は安全資産」とみられていたからだ。ところが、だ。ウクライナ情勢など地政学リスクが高まる中でも円高傾向にならないことに、木内氏は着目した。

「為替市場の構造が変化した、との指摘もしばしば聞かれる。(中略)それ以上に日米の金融政策の差に基づく金利差拡大観測の方が、より強くドル円レートの動きを支配しているということなのではないか」

   円安の要因のほとんどが米国側にあるから、鈴木財務大臣が連日、「円安けん制」発言をしてもドル円レートには影響を与えていない。

「それは、円安に対して警戒的な発言を当局者が行っても、実際に円買いドル売りの為替介入は実施できない、と市場に見透かされているためだろう」「日本の通貨当局である財務省の(中略)いわゆる『口先介入』自体には、円安傾向に歯止めを掛ける大きな効果は期待できない」

と、木内氏は指摘する。

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