2023年卒大学生・大学院生の就職活動が本格化している。新型コロナウイルスの拡大が一段落したこともあり、企業側も過去2年間、思うようにできなかった若い人材確保の挽回に懸命だ。
そんななか、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2022年4月7日、2023年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「2022年4月1日時点 内定状況」を発表した。
4月1日時点で早くも内定率は約4割に達し、昨年を上回るハイペースで進んでいる。
IT企業の内定率がダントツ、理系・女性の内定率やや高め
それによると、就職内定率(大学院生を除く)は38.1%で、同じ時点の昨年(2022年卒対象)の28.1%に比べ、10.0ポイントも上回る早いペースだ=図表1参照。理系が41.7%と、文系の36.5%を5.2ポイント上回っている。また、女性(38.5%)のほうが男性(37.7%)より内定率がやや高いことが目につく。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が29.4%と、ダントツに高いことが特徴だ=図表2参照。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが熾烈(しれつ)だ。とくに、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業が積極的に「囲い込み」に動いているからだろうか、選考も早く進むようだ。続いて、小売業(15.3%)、医療福祉業(12.8%)、サービス業(10.8%)、機械器具製造業(10.4%)と続く。
内定を取得した企業数をみると、平均1.85社で、1社が55.3%と一番多いが、4社以上が計8.5%もおり、優秀な学生は早くから複数の企業から内定をもらっていることがわかる=図表3参照。一方、内定辞退企業数をみても、2社以上という人が9.4%おり、就職先の決め込みに入った人が少なくない。
また、今年1月~3月の各就職活動の実施率をみると、「就職に関する情報を収集した」(88.3%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(83.1%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(78.6%)、「Web上での面接を受けた」(65.5%)、「インターンシップに参加した」(58.5%)などが上位に並び、就活も佳境の段階に入った人が多いことがうかがえる。
前哨戦は3月まで、勝負は4月だ!
具体的な活動内容を見ると、「合同説明会・セミナーに参加した」は2月が最も高い。一方、「個別の説明会・セミナーに参加した」「エントリーシートなどの書類を提出した」「面接選考を受けた」などは、3月中が高い傾向で、3月に活動が集中している様子が分かる。
4月の活動予定を聞くと、「最終面接を受ける」が多く、例年より高くなる見込みで、4月中にさらに内定取得が進みそうだ。
就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。
「内定辞退率は28.9%(昨年の同じ時点よりプラス7.2ポイント)、進路確定率は22.1%(プラス5.9ポイント)と、ともに高い水準です。選考が早く進んでいる分、志望度の高い企業から内定を得て、進路を確定する学生も増えており、この傾向は4月も続くでしょう。学生の皆さんは、今後エントリーシートの提出や面接への参加など、多くの予定が立て込むかと思いますが、いつ締め切りや選考があるかスケジュールを把握し、計画的に活動を進めていきましょう」
調査は、2022年4月1日~4日、2023年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生7641人(大学生6265人・大学院生1376人)にアンケートした。
(福田和郎)