テレワークできる「独身男性」は大企業社員に多い傾向
――なるほど。しかし、同じ独身でも男性の場合は、残業時間が減ったうえ、時間的なゆとりを感じる人の割合が、ほかの人々より突出して高いという結果が出ました。
その理由について、リポートではとくに説明せずに、「テレワークになった独身男性と、ならなかった独身男性はもともと異なるトレンドを持っていた可能性に注意が必要」と指摘していますが、どういうことでしょうか。
岩﨑さん「テレワークになった独身男性が、そのおかげで急に時間的なゆとりを感じる割合が増えているのかどうかはわかりません。テレワークになった人と、なっていない人の間の『もともとのトレンドの違い』に注目する必要があります。というのは、テレワークになった男性は大企業に勤める人が多い一方、テレワークにならなかった男性は中小企業に勤める人が多い傾向があります。
柔軟な働き方の取り入れが進む大企業では、もともとコロナ禍によってテレワーク拡大が進む前から、時間的なゆとりが高まるトレンドがあった可能性も考えられます。だから、この結果だけを見て断じるのは早計です。コロナ禍以前・以降のデータも含めて、もっと長いレンジで分析する必要があります。
ほかにも、テレワークになった企業では、テレワークだけではなく、さまざまな別の感染予防対策を行っていることが予想されます。そうした別の要因の影響も考えられるため、コロナ禍での対策の影響を今後、多面的に検証していく必要があるでしょう」