ビジネスマナーを必要だと思う人は8割超だが、20代男性では65.5%とやや低め――。
およそ半数の人は、ビジネスマナーで不快な思いをしたことがある――。
こんな結果が得られたのは、一般社団法人 日本能率協会(JMA)が1000人のビジネスパーソンを対象におこなった「ビジネスマナー」の意識調査だ。2022年3月29日に発表した。
この調査では、「不快な思いをしたマナー」「マナーとして気になる行動」なども聞いているが、果たしてどんな内容が上位なのだろうか?
不快な思いをした...1位は「言葉遣い・敬語の使い方」
調査では、まず単刀直入に、「あなた自身にとって、ビジネスマナーは、仕事をスムーズに進めるうえで必要だと思いますか」と聞くと、83.7%の人は、やはり「必要」(「必要」44.8%と「どちらかといえば必要」38.9%の合計)という結果だった。
しかし世代別でみると、20代男性で「必要」としたのは、65.5%(「必要」(26.4%)と「どちらかといえば必要」(39.1%)の合計)と差が見られた=図表1。
この結果に対してJMAでは、「親しい交友関係のなかで、ネットを中心としたコミュニケーションが多いことから、外部に対する意識が低下していることが推測されます」と見ている。
次に、「あなたは、相手(社内外含む)のビジネスマナーについて、不快な思いをしたことがありますか」と質問すると、「ある」が78.3%、「ない」が51.7%と、半々だった。そのうえで、具体的に、不快な思いをしたビジネスマナーを質問したところ、多い順に、
54.7%「言葉遣い・敬語の使い方」
51.3%「話し方・聞き方」
41.4%「あいさつ」
31.7%「電話対応」
が挙げられた=図表2。これを見る限り、コミュニケーションがらみの「不快な思い」は多いようで、気を付けたいところ。
そして、マナーとして「気になる」行動について、候補を用意して、選んでもらっている。それによると、「相手が社外の場合」で、「気になる」(「気になる」「少し気になる」の合計)のは、多い順に、
73.1%「会議や打ち合わせ中に携帯・スマートフォンをいじる」
55.0%「ビジネススーツにスニーカーを履いて他社訪問する」
52.6%「直前の遅刻・欠席についてメールやチャットツール等で連絡する」
という結果に。これに対して、「相手が社内の場合」で、「気になる」(「気になる」「少し気になる」の合計)のは、こちらも多い順に、
68.6%「会議や打ち合わせ中に携帯・スマートフォンをいじる」
53.1%「終業時間中に業務に関係のない一般の新聞やビジネス誌を読む」
51.6%「終業中に喫煙する」
だった=図表3。社内外問わず1位だった「スマートフォンをいじる」は、「不快な思い」に昇格していきそうな、マナー違反になりそうである。
それほど重要視する必要がない...1位は「名刺交換」
一方で、「ビジネスマナーについて、それほど重要視する必要がないと思うもの」を聞くと、22.1%が「名刺交換」、21.4%が「会議室・応接室での上座下座」、17.7%が「服装と身だしなみ」、15.0%が「あいさつ」、11.8%が「言葉遣い・敬語の使い方」、10.5%が「話し方・聞き方」と続く=図表4。
1位の「名刺交換」、2位の「上座下座」などは、コロナ禍によって、オンラインでのコミュニケーションが増えたことから、重要視されない「雰囲気」があるのかもしれない。
ちなみに、ビジネスマナーについて、職場で研修機会があったほうが「よいと思う」人は、76.1%(「あったほうがよい」31.4%と「どちらかといえばあったほうがよい」44.7%の合計)にのぼっていて、ビジネスマナーへの必要性には一定の理解があるようだ。
今回の調査結果を受けて、JMAは、
「マナーとして気になることとして、『会議や打ち合わせ中に携帯・スマートフォンをいじる』が1位となっていることは、特筆すべきポイントです。『スマホ依存』とも言われる時代ですが、相手の話に集中している姿勢が疑われることは、信頼関係を損なうことにつながりますので、注意が必要です」
と指摘。また、20代男性におけるビジネスマナーの必要性への認識が低くなっている傾向に対して、
「働き方や価値観の変化を見据えながら、求められるビジネスマナーを見直していく必要があると言えるでしょう」
「ビジネスマナーの大切さを再認識し、意図的に学ぶ機会を設けていくことが、あらためて、重要となっているのではないでしょうか」
などとコメントを寄せている。
なお、調査は、20歳~69歳までの正規の就業者1000人を対象とした(20代156人、30代258人、40代274人、50代212人、60代100人/男性684人、女性316人)。2021年12月14日~16日に実施した。