「環境教育」受けた若い世代の関心高い
企業などのフードロス削減が活発化している背景にある「SDGs」とは「Sustainable Development Goals」の略称で「エス・ディー・ジーズ」と発音する。2015年9月の国連サミットで採択されたもので、2016年から2030年の15年間の目標を、貧困、飢餓、ジェンダー、環境など17の分野ごとに掲げている。
欧米を中心に、SDGsなど社会問題に後ろ向きな企業を投資対象にしないことがコンセンサスになっており、この潮流から外れたら、企業価値を損ねる恐れがある。また、今の20~30代半ばの若者は、学校で持続可能な社会を目指す「環境教育」を受けて育っており、「フードロス対策は若い世代を引きつけるためにも不可欠」(企業関係者)という声もある。
新型コロナウイルス禍で世界の物流網が混乱する中、小麦の主要生産地であるウクライナやロシアで、戦争やそれによる各国からの制裁から大混乱に陥っている。このため、食品不足やそれに伴う食品価格の一段の高騰への警戒感が広がっている。
こうした状況を受け、「廃棄食品をなくし、無駄なく食べることこそ重要な対策だ」(食品アナリスト)との声も強まっている。食料への関心が広がるとともに、フードロス削減の機運が高まっていく可能性は高い。(ジャーナリスト 済田経夫)