みなさん、こんにちは。馬医金満です。
2022年3月28日週は、円相場の急落からのスタートで、一時1ドル=125円10銭を付けました。これは、およそ6年7か月ぶりの円安水準となります。
円安にはメリットとデメリットがあります。メリットは、投資をしていれば、海外資産の価値が相対的に上がりますし、海外で日本製品が売りやすくなるため、輸出産業の業績が伸びやすいことがあります。その半面、デメリットは輸入品が高くなるので、輸入に頼っているエネルギー資源が値上がってしまいます。また、輸入コストが高くなり、輸入産業の業績が落ち込みやすくなります。
円安で、なにが起こっているのでしょうか――。
加速する円安 きっかけは日銀?
外国為替市場で円安が加速しています。ウクライナ危機のさなか、かつては災害や金融危機などで市場のリスクが高まると、円が買われる「有事の円買い」が見られましたが、今回はそんな動きはありません。
直接的な要因は、米国の利上げです。その経緯を追ってみると、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月16日、インフレを抑えるために0.25%の幅の利上げを決めました。これが、長く金融緩和を続ける日本との金利差の拡大が見込まれ、より高い運用益が期待できる(金利が高い)ドルを買って円を売る動きが広がったわけです。
さらに、日本銀行の黒田東彦総裁が3月18日の記者会見で「円安が経済にプラスに作用しているという構図に変わりはない」と、改めて円安の是正に消極的な姿勢を示したことも、円安を後押ししました。
そして、3月28日です。外国為替相場が大きく変動したきっかけは、日本銀行が債券市場で長期金利の上昇を抑え込もうと、初めて「連続指値オペ(オペレーション)」に踏み切ることを発表したことが挙げられます。
「連続指値オペ」というのは、指定した利回りで国債を無制限に買い入れることで、事実上さらなる金利の上昇をブロックする強力な措置です。
金利の低いままの日本円は売られ、より利回りが見込める米ドルに資金が向かいました。
為替介入する? しない??
ここで注目を浴びているのが、日本政府が為替介入を行うかどうかという点です。
政府が最後に為替介入したのは、東日本大震災が起きた2011年で、投機的な動きから10月31日に円相場が1ドル=75円台と最高値を付けたときでした。ゆえに、一般的には為替介入は作動しないといわれています。また、アメリカの同意が必要ともいわれており、発動にはプロセスを踏む必要もあります。
ただ、財務省の神田眞人財務官が「日米の通貨当局間で緊密な意思疎通を図っていくことを確認した」と、一歩踏み込んだ発言をしたことで、今後の為替介入もあり得なくはなさそうな雰囲気になってきました。
為替介入の有無によっては、株価にも大きな影響を及ぼすので、今後も最優先に注目していきたいと考えています。
では、また!
(馬医金満)