廃校になった公立小中高校の「再活用」問題...意外と多い企業&創業支援施設への転用(鷲尾香一)

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使われていない普通教室は、他の学校施設へ転用多い

   廃校には至らないものの、児童・生徒数の減少などによって使用されていない普通教室が8万7064室もある。このうち、「余裕教室数」は7万3247室、「一時的余裕教室」は1万3817室となっている。

   「余裕教室数」とは、学区域に居住する児童等の人口からみて、今後5年間以内に、普通教室として使用されることがないと考えられる教室。「一時的余裕教室」とは、今後5年間以内に、普通教室として使用されることになると考えられる教室だ。

   学校別では、小学校が4万7097室、中学校が2万5897室、義務教育学校が253室となっている。

   問題となるのは、今後5年間以内に、普通教室として使用されることがないと考えられる「余裕教室」の活用だが、現状では7万3247室のうち、7万2266室(98.7%)が活用されている。

   学校別では、小学校が4万6362室(93.9%)、中学校が2万5652室(99.1%)、義務教育学校が252室(99.6%)となっている。

   ただし、具体的な使われ方として、このうち6万9257室(約95.8%)はその学校の施設として、2801室(約3.9%)が学校施設以外、208室(約0.3%)が特別支援学校など他の学校の施設、にそれぞれ活用されている。

   「学校の施設」として活用されているケースの詳細は、3万2004室(46.2%)が学習方法・指導方法の多様化に対応したスペース、1万5274室(22.1%)が特別教室としてだ。ようするに、約7割の教室が、新たな活用方法を見出しているわけではなく、教室の延長上としての活用にとどまっている。

   公立学校は国庫の補助によって作られたものであり、いわば国民の財産。ところが、少子高齢化などの時代の流れにより、放置されている廃校が約2000校もある。地域の知恵を集結して、有効活用を図っていきたいものだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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