中国から西側資金が流出する「3つの理由」
中国経済の減速を見越して、西側諸国の資金の大規模な流出が始まったと伝えるのは日本総研だ。
そのリポート「中国証券市場から大規模な資金流出―対露制裁、ゼロコロナ政策、米利上げが背景―」(4月6日付)によると、3月の中国証券市場から資金純流出額は175億ドル(株式63億ドル、債券112億ドル)に達し、統計開始の2015年以降で最大だ=図表2参照。
資本流出の加速は、中国政府が進める海外からの積極的な資金調達や人民元の国際化に大きな打撃となっている。流出の背景のポイントは以下の3点だという。
(1)西側諸国の投資離れ。ロシアに対し厳しい経済制裁を科す米国は、中国などとの取引が制裁の抜け道となる可能性を懸念し、ロシアと取引を行う外国人や外国企業に対する「2次的制裁」を示唆。中国が制裁に反対の姿勢を示していることもあり、中国での取引にも制裁が科されるとの懸念が台頭した。
(2)ゼロコロナ政策による景気悪化。都市部で厳しいロックダウンが実施されており、需要と供給の両面で経済活動が停滞。3月の中国PMI(購買担当者景気指数)は製造業、非製造業ともに景気判断の分かれ目である50割れ。4月以降も上海でロックダウンが継続、景気はさらに悪化する見通し。
(3)米国の利上げ。米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げが本格化するなか、米中の金利差は急速に縮小し(図表3参照)、中国債券市場からの資金引き上げ要因に。今後、人民元への強い下落圧力をもたらす見込み。