EU内でも足並みそろわず...「親ロシア」ハンガリーの動行は?
その欧州だが、EU内で「親ロシア」の動きが現れ、不協和音が生まれているようだ。この問題を第一生命経済研究所主席エコノミストの田中理氏がリポート「ロシアのデフォルトと欧州内の不協和音 ~デフォルトへのカウントダウン~」(4月7日)の中で紹介している。
「ロシアへのエネルギー依存脱却に舵を切ったEUは、石炭の禁輸に踏み込む方針を固めた。(中略)ウクライナのゼレンスキー大統領は、追加制裁を歓迎しながらも、ロシア産原油の禁輸など更に踏み込んだ対応を呼び掛けている。短期間での代替調達が難しい天然ガスの禁輸については、欧州諸国の間で慎重意見が多い。こうしたなか、対ロシア関係を巡ってEU内の足並みの乱れも露呈している」
4月3日に総選挙が行われたハンガリーでは、強権政治を進めて長年にわたりロシア寄りの姿勢を示すオルバン首相率いる与党が圧勝したのだ。ハンガリーはロシア産ガスや石油にエネルギー供給の多くを依存しており、対ロシア制裁強化に反対している。総選挙後、ハンガリー政府関係者はEUの方針に反し、ロシア産のガス輸入代金をルーブルで支払う用意がある、と表明するありさまだ。
それだけに、田中氏は、
「近年、法の支配や差別禁止などEUの基本価値を巡ってEUとの対立を続けるハンガリーのオルバン政権は、ロシアのプーチン政権とも親密な関係を築いてきた」「欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は4月5日、法の支配の原則に違反する加盟国へのEU予算の配分を停止する新たな手続きをハンガリーに対して発動する方針を表明したばかり」
と、指摘する。そして、
「今後のロシアへの追加制裁決定を巡っては、ハンガリーとEUの間の対立が影を落とす恐れもある」
と、結んでいる。