楽天モバイル、自社回線を全都道府県に!「独立頑張れ」エールと「つながるのか?」不安の声

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   携帯電話料金値下げ競争では破格の「0円」を打ち出し、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社体制を崩す「台風の目」となった楽天だったが、「つながりにくい」ことが弱点だった。

   「プラチナバンド」の周波数を大手のKDDI(au)から借りていたが、ついに携帯電話事業者としての「独り立ち」を目指し、自社回線への切り替えを進めることになった。 ネットでは「頑張れ!」のエールと、「ますますつながりにくくなりそうで不安だ」の声が交錯している。大丈夫か、楽天?

  • 携帯電話がつながらない場所があるのが弱点(写真はイメージ)
    携帯電話がつながらない場所があるのが弱点(写真はイメージ)
  • 携帯電話がつながらない場所があるのが弱点(写真はイメージ)

KDDIへの回線使用料が高額になり、収益を圧迫

   楽天モバイルは2020年4月に携帯電話事業に本格参入したが、自前の電話回線の拡大が遅れ、「つながりにくい」と利用者から不満の声があがっていることが最大のネックだった。

   特に、屋内や物陰でも電波が届きやすい「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯を、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社に独占されており、KDDI(au)から回線を借りるローミング(乗り入れ)を行ってきた。

   それが、楽天モバイルは2022年4月から自社回線に携帯電話サービスを全47都道府県で始めると、4日に発表。そのため、ローミングの見直しを全都道府県で順次開始するという。いずれKDDI回線を借りることを解消し、携帯電話事業として「独り立ち」の道を歩むことを宣言したのだ。

   報道によれば、楽天モバイルが4月から新たにローミングの見直しを始めたのは岩手、山形、山梨、和歌山、島根、高知、長崎、鹿児島の8県。これは楽天の当初計画より約4年前倒しする急ピッチな「独立計画」だ。楽天がローミングの解消を急ぐのは、利用者が増えるにつれKDDIへ支払う回線使用料が高額になり、収益を圧迫しているからとされる。

   今年2月時点で、楽天の基地局の開設数は4万局を超え、全国の人口の約96%をカバーしている。ただ、KDDIのローミングで使っていた「プラチナバンド」の800MHz帯に比べると、楽天の自社回線の1.7GHz帯は屋内や物陰などではつながりにくい特性があり、今後ますますつながらないという場面が出てくる可能性がある。

「総合満足度」は1位でも「通信品質」は最下位

電波塔がどんどん立ってほしいが...(写真はイメージ)
電波塔がどんどん立ってほしいが...(写真はイメージ)

   こうしたことから、楽天モバイルは切り替え対象地域内でも、地下鉄や地下街、屋内施設、観光地などの電波が届きにくい地域は、引き続きKDDIによるローミングサービスを使用。また、ユーザーからの問い合わせ窓口をつくり、苦情に対応するという。

   実際にいつごろに利用者が住む地域が楽天の自社回線に切り替わるのかは、楽天の公式サイトの「通信・エリア」と、KDDIの公式サイトの「楽天モバイル向けローミングサービス提供エリア」で、それぞれ区市町村ごとの詳細な地図を公開しているので、確認できる。

   楽天については、基本料金「0円」の安さが人気を誇っているのは確か。モバイル専門の市場調査会社、MMD研究所が3月14日に発表した、大手のサービスブランドのユーザーを対象にした「2022年3月 MNOの満足度調査」では、「Rakuten UN-LIMIT 6」が「総合満足度」では1位となった。しかし、「通信品質」分野の満足度では最下位という「いかにも楽天」らしい結果になっている。

「使い方次第で楽天モバイルは現在最強と思う」

   それだけに、今回の楽天の「独立計画」にはインターネット上では「期待」と「不安」の声が交錯している。ヤフーニュースのヤフコメ欄をみると、まず「頑張っている」という声が多かった。

「最初はダメダメでスタートしたけど、気づくと他のキャリアと肩を並べ、やがては抜け出る、と予想しています。海外にいますが、地味に嬉しいのは、(1)使わなければ0円なので、海外赴任期間でも日本の携帯番号を無料で維持できる。(2)楽天Linkアプリを使って、海外からでもフリーダイヤル0120、一般回線、日本国内の携帯電話に通話料無料でかけ放題できる、こと。特に(2)は、何かとコールセンターに問い合わせたりする機会があるので、本当に便利。まだ課題は多いでしょうが、その分、伸びしろがある通信事業者です」
「使い方次第で楽天モバイルは現在最強だと思いますよ。自分もサブとしてつかっていますが、ダブルSIMのスマホにして1つは楽天モバイル、1つはMVNOの音声SIM。この使い方で本当に安く、かつ、困ることなく運用できます。3台キャリアを持てる経済力がある人は持てばいいけど、これからは2SIM体制がスタンダード化するんじゃないかな」
「仙台市で使用しています。ほぼ問題なく使用していますが、最近立て続けに電波を失うことがありました。しかもよりによって会計中という...。PayPayは使えず、Suicaは残金不足。財布取りに走りました(笑)。(中略)とはいえ、夫婦で毎月4万円近くかかっていた通話料がほぼ0円になったのは衝撃的です。いろいろ書きましたが95%は問題なく使えていますし、変えてよかったと思っています」
「千代田区大手町の高層ビルで働いていますが、特に問題を感じません。高層ビル内フロアのほぼ中心部にあるトイレでの休憩タイムでも快適に使えます。高層階だと電波の掴みが不安定になり、ビル内はまだいいけど高層ビルの敷地内のビルとビルの谷間でほぼ圏外になるのは楽天モバイルだけではないし」

「まだまだ努力が必要、というのが正直な感想」

山岳部でもつながってほしい(写真はイメージ)
山岳部でもつながってほしい(写真はイメージ)

   「楽天マニア」は「0円」の利点を生かして「2台持ち」など、それぞれ工夫をこらして使う人が多かった。たとえば......。

「上手に使って付き合うのが楽天モバイルのコツ。サブで0円運用か無制限の固定回線代わりか、電波環境が安定している人が運用できる特権を持つ。ちなみにウチは5Mbpsです。ローミングなくなれば圏外多発でますますお金はいらなくなると思う」
「ネット見たりして20ギガくらい使うのであれば、3大キャリアのAhamoなどを契約。通話オプション料を払うのが嫌な場合は、楽天回線を2回線目として発信は楽天リンク、受信は3大キャリアの電話番号とするのが一番よい。20ギガ以下ならPovoやLinemoの格安プランを選択」
「都心に住んで働いていますけど、鉄筋コンクリートの建物の中に入るとほぼアウトです。コンビニやランチでお店に入ってバーコード決済が使えないとかふつう。なので、楽天は電話だけ使ってデータ回線使わず0円、自宅がソフトバンク回線なので、割引の関係で、ワイモバイルでデータ回線使用のデュアルにしています」

といった案配。

   しかし、KDDI(au)のローミングが終わったらどうなるのかと、「不安」にかられる人は少なくない。

「自宅周辺数百メーターくらいの範囲が、パートナーエリアだったのがいつの間にか楽天エリアと公表されているのに、未だに自宅ではパートナー回線と表示されます。本当にauローミングが終わったらどうなるのか心配です。3月で無料期間が終わったので、自宅で繋がらなくなったら解約するか自宅Wi-Fiで固定電話代わりに使うかしかありません」
「都内の地下鉄電車内では他のキャリアのほうが平気でスマホをいじっていますが、繋がりづらいというか、ほとんど繋がりません。また、山にも行くので、山岳地帯や地方での緊急時などでスマホが繋がらないと困ります。今までau回線のバックアップがあったので、その点でも安心できました。(中略)地下鉄路線内とか、地方や山岳地帯でも通信品質を目指してほしいです。それが達成できるまでは、そうした場所でもう少しau回線のバックアップを保持してほしいものです」

   最後に、こんなエールを紹介したい。

「まだまだ努力が必要、というのが正直な感想である。私の住む地域(そこそこの都市です)では、とにかくつながりが悪い。(中略)業界の料金改善など、新たなる波を起こしてはくれたが、はっきり申し上げて、今のままでは引っ掻き回しただけ。携帯会社を持っています、経営しています、それだけである。このままau回線がなくなれば無用となる可能性大である。こんなことではダメ。楽天モバイル! 今後のさらなる、大いなる発展を期待しております。応援しておりますよ」

(福田和郎)

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