文系は金融、理系は「ジョブ型雇用」導入企業が人気...では、男女別の1・2位企業は? 就職注目企業ランキングの顔ぶれ一覧

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   ウクライナ情勢の悪化に加え、オミクロン株がリバウンド傾向を見せ始め、経済情勢に不安定要素はあるが、2023年卒大学生たちの就職活動は佳境を迎えている。

   就活生はいったいどんな企業の、どこに注目しているだろうか。就職・転職のジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワークが全国13万6000人の学生ユーザーを調査した「就活生が選ぶ、就職注目企業ランキング【男女文理編】」を、2022年3月30日に発表した。

   男子7万9000人、女子5万7000人、文系8万2000人、理系4万7000人、それぞれの大学生が選んだベスト20位の企業から見えてくるものは――。

  • 「入ってよかった!」とやる気が出る企業は?(写真はイメージ)
    「入ってよかった!」とやる気が出る企業は?(写真はイメージ)
  • 「入ってよかった!」とやる気が出る企業は?(写真はイメージ)

男子1位はNTTデータ、女子1位はアクセンチュア

   「OpenWork」は、主に社会人の会員ユーザーが自分の勤務している企業や官庁などのクチコミ情報を投稿するサイトだ。入社10年以内の社会人のほか、クチコミを通じて生々しい企業の就職情報を得ようとする学生ユーザーも多く登録している。

   今回の調査は、すでに登録している2023年卒業予定の学生ユーザー約13万6000人が、特にどの企業に注目して口コミ情報を調べたか、検索件数を元に調査した。「検索件数が多い企業ほど注目度が高い」と評価したわけだ。

   まず「男子女子別」(図表1参照)では、男子学生の1位はNTTグループの一員で、情報サービスとしては日本大手のNTTデータ。2位に外資系コンサルト会社のアクセンチュア、3位に電気機器大手の日立製作所が入った。

   また、ほかにランクインした会社では、野村総合研究所やPwCコンサルティングなどのコンサルティング会社や、トヨタ自動車、パナソニック、ソニーグループなどの製造業、日本アイ・ビー・エム、楽天グールプなどのIT会社、高給与で知られる自動制御機器のキーエンス......と、バランスよく選ばれているのが特徴だ。

【男女別】就職注目企業ランキング(OpenWork作成)
(図表1)【男女別】就職注目企業ランキング(OpenWork作成)

   一方、女子学生の1位はアクセンチュア、2位はNTTデータ、3位に総合不動産のオープンハウスが入った。男子学生と違うのは、働き方改革と女性活躍推進で評価が高いニトリ(家具小売り)やレバレジーズ(ITと人材に特化したメディア)などが上位にランクインしたことだ。また、化粧品大手の資生堂、アイデア家電のアイリスオーヤマが20位に食い込んだことも、女子学生らしいといえるかもしれない。

   また、男子学生・女子学生ともに、ほかの就職希望調査では上位に入る総合商社は1社もなかった。総合商社は「文系学生」の16位に伊藤忠商事がランクインしただけだ。

   上位に入った企業にはどんな魅力があるのだろうか。新卒入社した若手社員クチコミから見ていくと――。

女性活躍推進の企業に入りたい(写真はイメージ)
女性活躍推進の企業に入りたい(写真はイメージ)
NTTデータ「日本のSI(システムインテグレーション)事業の最前線に立って優秀な方々と仕事が出来る。多くの案件がプライム(元請け)であるため、顧客と直接対話できる場面が多く、関わるソリューション(顧客の抱える問題・課題の解決)によっては顧客の意思決定層と話をする経験も積むことが出来る。また、ITは未だに最適解が見つかっていない部分が多く、知見を深めたければいくらでも勉強する余地がある。今後も同じ業界・同じ市場でプロジェクトマネージャーとしてキャリアを形成していきたい人であれば、最初のステップとしてこの上ない環境である」(コンサルタント、男性)
NTTデータ「意外だったが、若手のうちから責任の大きい仕事にアサイン(任命)されることが多い。プロジェクトであれば数億円規模、数十人規模の案件や、チームのリーダーにアサインされ、先輩たちのフォローはありながら一人称で自律的に回していく経験ができる。しっかりとしたプロジェクトマネジメントのやり方を早いうちに実践で経験できるので、成長することができる。また、技術についても資格取得の支援や、社内認定制度を通じたスキルアップの仕組みがあるので、社外でも通用するプロフェッショナリティを身につけることができる」(スタッフ、女性)
アクセンチュア「優秀な人が周りに多く、20代で成長するには絶好の環境だと思う。新卒数年では通常任されないようなポジションでの仕事を振られる機会も多く、プロフェッショナルとしてすぐ客先に立つので鍛えられる。ただし、プロジェクトによって求められるスキルがかなり異なるので、キャリア形成については明確に意思表示をしないと、勝手に専門性が決まっていってしまう」(コンサルタント、女性)
アクセンチュア「持続的に成長している大規模コンサルティングファームのメンバーとして働くことは、大きな働きがいになると思う。大企業がクライアントのプロジェクトが多く、大規模プロジェクトも多いため、運が良ければ作ったものが大々的に世の中に出る喜びがある。いい上司に巡り会えれば、比較的ジュニアな頃からクライアントとの会議のファシリテーション(会議を円滑に進める技法)や会議資料作成を任せられるため、若いうちから成長環境を与えられる」(シニアアナリスト、男性)

文系は金融機関、理系はジョブ型雇用のメーカー

   一方、「文系理系別」(図表2参照)を見ていくと、文系ではオープンハウスが1位になったが、東京海上日動火災保険や三井住友銀行、三菱UFJ銀行などの金融企業がランクインしたのが目立つ。

   理系では、半導体業界の東京エレクトロンや村田製作所が目を引くほか、ソニーグループや日立製作所、NEC、キヤノンといったジョブ型雇用を積極的に導入し始めた大手メーカー企業がランクインしたのが特徴だ。

(図表2)【文理別】就職注目企業ランキング(OpenWork作成)
(図表2)【文理別】就職注目企業ランキング(OpenWork作成)

   こうした企業の魅力を若手社員のクチコミから見ると――。

オープンハウス「高い目標に対して、やる気のある社員が一丸となって仕事をしていますので、達成した時の嬉しさはとても大きいです。また、不動産の営業というと個人プレーを想定される方が多いと思いますが、弊社ではチームでの目標意識が高く、3、4人単位で形成されるチームが3、4組で形成され、センター長が率いる店舗のエリアごとに形成された1部、2部...などチームで戦っていく組織になっています。このチーム制が合う人には良い社風で、上司のため部下のためと、自分1人では頑張り切れない場面を支え合えるので、体育会系の部活動のような感じです」(営業、女性)
三井住友銀行「交渉、企画立案、分析、実行、リスク管理といった幅広い業務を経験でき、組織の方針を多様な角度から理解できる。幅広い業種を経験できることから、相手の視点にたち、相手を深く理解する能力が磨ける。そのため、組織内の人材を最大限に生かせるポジションを考えることや、ビジネスマッチングスキルも活かし、組織の成長に貢献することができる」(法人営業、男性)
ジョブ型雇用推進の企業でエンジニアとして働きたい(写真はイメージ)
ジョブ型雇用推進の企業でエンジニアとして働きたい(写真はイメージ)
日立製作所「キャリアパスは多岐に渡る。昨今のジョブ型へのシフトの件もあり、社内で各職種の定義が行われつつある。よほどのことがない限り、自分のやりたいことを伝えれば確実に実現できる。私自身は入社し、プロジェクトマネジメントのキャリアを進んでいたが、技術的素養をより身に着けたいと感じ、マネージャもその意向をくみ取ってくれたため、途中からシステムアーキテクト、データサイエンティストのキャリアを歩んでいる」(システムエンジニア、男性)
東京エレクトロン「半導体に関する知識が身につき、最先端の技術に貢献している実感があります。顧客によっては大変なこともありますが、その分社内で評価されるためやりがいはあります。グローバルに働けるのもやりがいがあり、海外出張の頻度もとても多いです」(営業、男性)

   これらの生の声を見る限り、若手のスキルとキャリアを伸ばす環境に恵まれているところが多いようだ。

   調査は、OpenWorkに登録している2023年卒学生ユーザー13万6419人を対象に2022年3月6日時点の検索企業を集計した。内訳は男子学生7万9371人、女子学生5万6983人。文系学生8万2918人、理系学生4万7546人、その他5955人。

(福田和郎)

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