原油は史上最高値更新も
「週刊エコノミスト」(2022年4月12日号)の特集は、「ウクライナ戦争で急変 世界経済入門」だ。ロシア、ウクライナだけでなく、国債の「破綻リスク」が世界的に急上昇している。ロシア国債のデフォルトは不可避という見方がエコノミストに広がっている。
第一生命経済研究所の田中理主席エコノミストは、このほか破綻リスクが高い国として、アルゼンチンなどファンダメンタルズが脆弱な国、ハンガリーなどウクライナからの避難民を多く受け入れている周辺諸国、カザフスタンなどロシアとの結びつきが強い国を挙げている。
国際的な危機の中で、米経済は「巡航速度」を維持できるのか。伊藤忠総研の高橋尚太郎上席主任研究員は「ウクライナ危機で絶対的な安全資産としてのドルの需要が強まった」と見ている。ドルの基軸通貨としての地位は揺らぐどころか強まった可能性すらあるという。
国際商品の代表である原油は上昇している。国際指標であるWTIは新型コロナウイルスのオミクロン株出現などを受けて、2021年12月2日に1バレル=62.43ドルと3か月半ぶりの安値をつけたが、ロシアのウクライナ侵攻後の3月7日には、一時1バレル=130.50ドルまで上昇した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「向こう2~3か月、WTIは高止まりし、一時的に史上最高値(147.27ドル)を更新しても不思議ではない」と見ている。原油輸入国は今後、不況下で物価が上がる「スタグフレーション」に陥る恐れがある、と警告している。
原油の急騰を待たずとも、コロナ禍で収入が上がらない一方、物価の値上がりが続き、この春個人的に「スタグフレーション」感を覚えている人も多いのではないだろうか。