2022年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。今なお混迷した状況は続いていますが、世界の大半はウクライナの味方となっている状況で、軍の派遣は行われていないものの、欧米からは戦略兵器などの軍事支援が行われています。
また、中立国のスイスですらロシア要人の資産凍結に動き、ロシア寄りと見られていた中国からも「ウクライナでの悲劇は見たくない」といったコメントが出ています。ロシアは、まさに四面楚歌といった状態です。
ウクライナ政府は、ゼレンスキー大統領を中心に、世界中に向けて軍事支援以外にも、財政支援、人道支援を呼びかけています。財政支援のひとつの方法として、暗号資産(仮想通貨)による寄付も行われており、その規模が話題になっています。
危機的状況にあるウクライナ情勢が、暗号資産で解決されるのでしょうか? ウクライナを支える、ひと役買っている暗号資産の動向を、解説します。
参考リンク:J-CAST 会社ウォッチ「ウクライナ危機で仮想通貨が上昇! そのウラにある突然の、あるロシアの動き?」(2022年3月9日付)
暗号資産で78億円の寄付が集まる!
2月27日、ウクライナ政府は公式ツイッターに「ウクライナの人々と一緒に立ち上がりなさい。暗号通貨の寄付を受け付けています」と投稿しました。受け付けている暗号資産は、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、テザー(USDT)の3種類でした。
3月24日時点で、7万件以上のリツイートと21万件以上の「いいね」がついています。
ここに記載されているアドレスには6万件近くの寄付があり、3月2日には1日で1万件超もの送金が行われています。
3月11日に、ウクライナ副首相兼デジタルトランスフォーメーション(DX)大臣のミハイル・フェドロフ氏は、支援のために寄せられた暗号資産による寄付の使途の詳細を発表。
防弾チョッキ5500着、暗視ゴーグル3125個、ヘルメット500個、トランシーバー60台、食料41万食、医薬品3427個を購入したとツイッターで報告しました。
3月14日には、ウクライナ政府が暗号資産取引所大手のFTXとブロックチェーン企業のエバーステークとともに、暗号資産で寄付を受け付けるウェブサイト、エイド・フォー・ウクライナ(Aid for Ukrainea)を開設。
ここでの寄付金は、ウクライナ軍の支援のほか、人道援助を必要としている市民の支援に充てられる模様です。
なお、寄付された暗号資産はFTXが米ドルに換金し、ウクライナ中央銀行に送金するとされています。
3月24日時点で、すでに6516万ドル以上(約78億円)もの寄付が集まっていることがわかります。
話題の「NFT」でウクライナ支援
暗号資産といえば、NFT(非代替性トークン)が話題を集めており、ウクライナ支援にもNFTが使われています。
支援組織「UkraineDAO」は、ウクライナの国旗をNFTにしオークション形式で出品。NFTをオークションで購入されると、ウクライナへの寄付となる仕組みとなっています。 ウェブサイトにも記載されていますが、購入されたNFTの金額は100%ウクライナへの寄付となります。
2月26日から72時間かけて実施されたオークションでは、3271人がNFTを購入。総額で約2258ETH(約6億7000万円。暗号通貨「イーサリアム」での支払い)もの寄付金を集めることに成功したそうです。
決済方法が暗号資産のため、決済企業や銀行へ支払う手数料がなく、寄付金額のほとんどの額を支援対象へ送ることができます。また支援者は、寄付を行った証明をNFTで持つことができます。
2020年以降、暗号資産はインフレヘッジの手段として注目されてきました。しかし、このような世界が注目する「危機」において、「早く、誰でも、低コストで支援できる」手段として活用されています。
投資対象として見られがちな暗号資産ですが、自由で便利という価値に光が当たることで投資家以外にも、その価値が伝わっているようです。(ひろぴー)