数少ない明るい材料は、円安に伴う業績押上げ余地
今回の結果についてエコノストたちはどう見ているのだろうか。
ヤフーニュースのヤフコメ欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏がこう指摘した。
「ヘッドライン(見出し)で報道される『最近』のほうは、当初の想定ほど悪化しませんでしたが、『先行き』のほうの悪化幅が大きくなっています。やはり、企業経営者は市場関係者以上にウクライナ戦争の影響を深刻に見ているのでしょう。特に、感染者数減で一部先行き改善が見込まれていた非製造業が悪化したのが象徴的です。(中略)数少ない明るい材料としては、製造業の設備投資計画が強気なのと、想定為替レートが111円台後半なので、グローバル展開する大企業では円安に伴う業績押上げ余地があるということくらいでしょう」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主席研究員の小林真一郎氏も、ウクライナ情勢への懸念を示した。
「大企業の業況判断は製造業、非製造業とも悪化しましたが、それでも事前の予測と比べると小幅でした。これは、感染第6波の影響が意外と軽微だったことや、調査時点ではウクライナ情勢の悪化、資源価格高の企業業績へのマイナスの影響が本格化していなかったためと考えられます」
「景気に減速懸念が出てきていることは確かです。景気の動向を企業活動から判断すると、『足元の景気は緩やかに回復しているが、感染第6波、自動車の生産制約、資源高の影響によって、一部に弱さが見られる』と言えそうです。また今後については、『感染第6波の収束への期待感はあるものの、ウクライナ情勢、資源価格高騰、行き過ぎた円安への警戒感を背景に景気の先行きに慎重な企業が多く、景気回復のペースも緩やかにとどまる』と考えられます」