2022年3月、多くの大学で卒業式が行われて、卒業生たちが巣立っていった。
コロナ禍、ウクライナ危機という未曽有の歴史の大転換のさなか、それぞれの大学の学長・総長たちは、社会の荒波に飛び込んでいった教え子たちにどんな激励のエールを贈ったのか。
どう社会と向き合い、どうやって生きていくか。教え子たちを思う熱情にあふれた言葉の数々。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部が、独断で選んでみた。
「Boys,be ambitious」が「Be ambitious」に
「心に響く学長の挨拶」シリーズ
▼大学卒業式「心に響く学長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【1:平和への願い編】
▼大学卒業式「心に響く学長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【2:とらわれない視点編】
ジェンダーの問題がクローズアップされる今、「男女平等の社会」実現を訴える学長・総長が多かった。
北海道大学では、前身の札幌農学校を開校した米国人農学者ウィリアム・スミス・クラークの名言「Boys,be ambitious」(少年よ、大志を抱け)が有名だが、北海道大学の宝金清博(ほうきん・きよひろ)総長が卒業生に贈った言葉は、ちょっと違っていた。
「私たち北海道大学のメンバーにとってのsoul slogan(魂のスローガン)は、クラーク先生の残した『Be ambitious』という勇気を与える言葉だと思います。私自身は、この言葉を、私たちの足元である北海道から世界へ、私たちの教育、研究、そして、そこから生まれる人材を広げていくことだと解釈しています」
こう述べたのだった。「Boys」(少年)が消えていた。そして、こう続けた。
「これを『光は北から、北から世界へ』という自分なりの言葉でお伝えしています。『光』は皆さんのような若い人材、そして、研究成果です。『北』は、もちろん北海道大学のことも意味しますが、もっと広く、寒冷で厳しい気候・風土という私たちの環境を意味します。このコロナ禍も含めて、まさに、厳しい環境だからこそ、次の社会を先導するイノベーションの光を北海道大学の卒業生である皆さんが放つことを期待します」
実は、宝金総長は昨年(2021年)の卒業式では、北海道大学のsoul sloganを「Girls and boys,be ambitious」と表現したのだ。男女平等が求められているからだろうか、「Girls and boys」と、Girls(少女)を先にしたことが印象的だった。今年はさらに進めて、男女関係なくすべての人間に向けたsoul sloganに広げたようだ。