ロシアが、1998年の「ロシア危機」以来となる、国債のデフォルト(債務不履行)リスクにさらされている。ロシア政府はデフォルト回避に躍起だが、厳しい状況を脱するのは難しそうだ。
ドル建て国債の利払いが苦しい理由
「ドル建てのロシア国債の利息払いを完了した」
ロシア財務省は2022年3月17日、前日16日が期限だったドル建て国債の利息計1億1700万ドル(約150億円)の支払いを予定通り終えたと発表した。22日には6600億ドルの利払い完了も発表。デフォルト危機をひとまず回避したかっこうだ。
だが、先行きはあまりに険しい。
ロシア政府が発行する国債はロシア通貨のルーブル建てだけでなく、機関投資家の需要が高いドル建てが多い。ドル建て債の利払いは原則、ドルで支払う必要があるが、現在のロシアにとってはこれが大きなハードルとなっているためだ。
背景にあるのが、ウクライナ侵攻に伴う欧米の経済制裁だ。
ロシアは98年のロシア危機を教訓に世界経済の変動リスクに対応するため、ドル建ての外貨準備を積み上げてきたが、庫内のウクライナ侵攻を受けた欧米の経済制裁で中央銀行の資産が凍結され、6300億ドル(約80兆円)の外貨準備を引き出せない状況に陥っている。
利払いの原資に充てるはずだった「虎の子」の外貨準備が封じられる中、ロシア政府は今回、海外の銀行に預金しているドルなどを何とかかき集め、しのいだとみられている。
ただし、正念場はむしろこれからだ。米モルガン・スタンレーによると、元本と利息を合わせて3月31日には4億4700万ドル、4月4日には21億2900万ドル(元本20億ドルと金利)の支払いが控えている。デフォルトが回避できるかは、いつまでドルを集め続けられるかにかかっている。