「赤毛のアン」の尽きない好奇心と底抜けの明るさ
京都大学の湊長博総長は、新たな旅立ちへのワクワク感をこう表現した。
「100年以上前に発表されたカナダのモンゴメリー夫人による小説『赤毛のアン』の主人公アン・シャーリーの言葉を送っておきたいと思います。
『I love bended roads. You never know what may be around the next bend in the roads.』
私は曲がり角のある道が大好きだ。次の角を曲がったら、一体どんな景色なのか、どんな人と出会いどんな出来事が待っているのか、わくわくする、といったところでしょう」
「この大河小説の底流に一貫しているのは、人生と自然への自由で尽きない好奇心と他者への限りないエンパシー、そして底抜けに明るい楽観主義です。これから先の皆さんの人生には多くの曲がり角が出てくると思いますが、近道や最短距離を歩く必要はありませんし、回り道や遠回りをすることを恐れる必要もないと思います」
さらに、アップル創業者のひとりスティーブ・ジョブズが米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチを紹介して、卒業生を励ましたのだった。
「『The only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking until you find it. Don't settle』
さらに、スピーチの最後を『Stay hungry, Stay foolish』という有名な言葉で結んでいます。この『foolish』という言葉には、『clever』である必要はない、回り道を恐れるな、という意味が込められていると私は思っています」
「Stay foolish」は、ジョブズの多くの名言の中でも、いろいろな意味に解釈されているため、魅力的なせいだからだろうか、岡山商科大学の井尻昭夫学長も卒業生に贈った。ただし、京都大学の湊長博総長とは少しとらえ方が違っていた。
「Apple創業者の一人である故Steve Jobs氏が、2005年にスタンフォード大学の卒業式で学生に贈った言葉を、諸君にお伝えします。
『Stay hungry,Stay foolish.』
直訳すると、『空腹であれ、愚かであれ』となってしまいますが、私はこの言葉を『自分を信じ、我が道を究めなさい』と理解しています。そのためにはまず、健康でなければなりません。心も体も健康であって初めて、諸君の夢が実現できるのです。
『Stay hungry,Stay foolish. 』
諸君のご健闘をお祈りし、お祝いの言葉といたします」