大学卒業式「心に響く学長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【2:とらわれない視点編】

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   2022年3月、多くの大学で卒業式が行われて、卒業生たちが巣立っていった。

   コロナ禍、ウクライナ危機という未曽有の歴史の大転換のさなか、それぞれの大学の学長・総長たちは、社会の荒波に飛び込んでいった教え子たちにどんな激励のエールを贈ったのか。

   どう社会と向き合い、どうやって生きていくか。教え子たちを思う熱情にあふれた言葉の数々。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部が、独断で選んでみた。

  • 学長・総長たちが卒業生に贈った言葉とは(写真はイメージ)
    学長・総長たちが卒業生に贈った言葉とは(写真はイメージ)
  • 学長・総長たちが卒業生に贈った言葉とは(写真はイメージ)

「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」

京都精華大学 ウスビ・サコ学長(公式サイト:学長からのメッセージより)
京都精華大学 ウスビ・サコ学長(公式サイト:学長からのメッセージより)

   <大学卒業式「心に響く学長の挨拶」はコレ! 会社ウォッチ編集部が独断で選ぶ珠玉の言葉の数々【1:平和への願い編】>の続きです。

   やわらかい話題やたとえ話からかみ砕くように、人生の荒海に漕ぎ出しいく卒業生にエールを送る学長・総長も多かった。

   京都精華大学のウスビ・サコ学長は、アフリカのマリ共和国出身だ。日本に来て30余年。現地の言葉であるバンバラ語をはじめ、英語、フランス語、中国語、そして関西弁が堪能だ。卒業生に贈る挨拶は、「AW NI CHE, AW NI SEGUE, AW NI BARA」というバンバラ語で始まった。

「さきほどの私のバンバラ語の挨拶には、祝福の意味のほかに『ご苦労さまでした』という意味が含まれています。困難な道のりをたどって本日、卒業あるいは修了という地点にたどりついた皆さんの精神力をたたえたい。(中略)皆さんが手に入れたのは、様々な専門知識はもちろんですが、それ以上に、ともに学んできた学生、教職員との信頼関係と深い友情です」

   そして、アフリカの「ことわざ」をもってして、こう伝えたのだった。

「アフリカには、『If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. 早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め』ということわざがあります。『遠くに行くためには皆で進め』からは、組織の多様性についての示唆をえることができます」
「似たような価値観を共有する仲間うちで意思決定するなら、摩擦も少なく、効率的に物事を進められるかもしれません。しかし、その場合、私達は誰でもが思いつく手近なゴールしか目指せません。それよりも遠くへ行くためには、オープンで多様性にとんだ組織になることが必要なのです」

   つづいてサコ学長は、ノーベル物理学賞を受賞した米国プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎さんの受賞コメントを話題にした。「(自分は)日本で調和の中で生きることはできない」といった趣旨の言葉だ。サコ学長は自分の日本での経験を引き合いにこう語った。

「長く日本に住む私にとって、真鍋さんが言及した『調和』という言葉は、とても京都っぽい皮肉にも聞こえました。日本人であれば、ここで『調和』と言われているのは『同調圧力』のことだとすぐに気がつくでしょう」
「『出るくいは打たれる』ということわざが示しているように、個人の能力よりも集団の調和を過剰に重視するのが、日本の慣習になっているようです。しかし、せっかくの能力が埋もれてしまってはもったいなくないでしょうか? そして『もったいない』というのも日本独特の表現ではなかったでしょうか?」

   そして、卒業生たちにこうエールを贈ったのだった。

「みなさんの進路は、会社員、公務員、作家、クリエーター、フリーター、ニート(「自由人」とか?)、大学院生などさまざまです。(中略)キャリア教育で、皆さんは『自分の好きを仕事にしてください』と教えられたはずです。その『自分の好き』を貫きながら、さらに社会の変革、いわゆるソーシャル・イノベーションにもチャレンジしてください。失敗を恐れず、もし壁にぶつかったときには、常に京都精華大学という皆さんの原点に立ち帰って下さい」
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