社内に眠れる「宝の山」顧客情報、すぐ活用を! 関係づくりの第一歩に...担当者メールアドレス知る手堅い方法〈その2〉(大関暁夫)

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過去の取引実績による「印象付け」もポイント

   HPから先方の電話番号がわかるなら、いきなり同じ内容を電話で問い合わせをすればいいのではないか、と思われる向きもあるかもしれません。経験のある方はおわかりかもしれませんが、電話で面識のない相手からメールアドレスを聞き出すのはけっこうハードルが高いです。また、先々のオンライン営業での関係づくりを考えるなら、オンライン接触から入って、相手のメールアドレスを入手することを第一目標に置くべきと考えます。

   扱う商材・サービスにより相手の反応の濃淡はありますが、私の経験から申し上げれば、問い合わせフォームに先のようなメッセージを数百件入れただけで、たまたま先方が「機械の入れ替えを考えていた」とか「同様のサービスの導入を検討していた」等の理由で、「詳しい話が聞きたい」といった返信がもらえるケースも何件か出てきます。全くの飛び込みメール営業ではこの手の反応はほとんどないのですが、「過去に取引実績がある」という印象付けを先方にするだけで、そのあたりの反応も全く変わってくるものなのです。

   さて、現在の担当部署、担当者名に関する返信が来たら、こちらからのお礼メールを忘れずに送付し、その際に多少なりとも相手に有益な情報を提供するようにします(詳細はまた次回取り上げます)。とりあえずは、先方の担当部署、担当者、メールアドレスが手に入れば、今後定期的な情報提供や無料セミナーの案内をするなどの接点拡大先リスト先として管理できるようになるので、この段階でもまだ具体的なセールスは禁物です。

   一方、返信が来ない場合ですが、先方が返信を忘れている場合を考えて、間隔を空けて再度返信を催促します。空ける間隔は2~3週間ぐらいが妥当です。あまり間が空き過ぎず、「そういえば問合せがあったな」と記憶の片隅に残っているぐらいのタイミングがいいでしょう。書き出しは1回目同様、過去に取引実績がある企業である旨を表示し、「〇月×日に問い合わせフォームよりお願い申し上げました件、いかがでしょうか」として、再度趣旨説明と返信のお願いをします。

   最初の問い合わせで返信のないケースは多いですが、2度目の催促メールで返信確率は多少アップします。しかし、問い合わせメッセージは3度目が限界と考えるべきでしょう。3度目で返信がない場合はリストから落とす。あるいは、保留リストに入れ1年以上間を空けて、相手の担当者が変わるタイミングをねらって再度アプローチという対応もありです。

   ネット検索でホームページが見当たらない保留先ですが、可能性としては(1)すでに廃業または閉店している、(2)社名変更している、(3)合併、買収、統合等により組織実態が変更になっている、(4)単純に自社ホームページがない、等が考えられます。上記のうち、こちらが関係再構築を働きかけるのに有効なケースは(2)のケースのみと考えられます((3)の場合は過去に取引実績があったとは言えませんし、(4)はオンライン営業のターゲット企業にはなり得ないでしょう)。(2)の洗い出しには、住所と業種で再検索をかけてみる。あるいは、住所から地図検索して、その場所の社名がどうなっているか確認をとり、現状の社名と思しきデータで再検索をかけてみるといいでしょう。

   なお、余談ですが、問い合わせフォームへのメッセージはインサイドセールス・チームの女性名で出す方が相手への印象が柔らかくなり、一般的には返信の確率が高くなります。

(大関暁夫)

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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