AirJapanが使う「ボーイング787」の特長
新ブランドのAirJapanとピーチの違いは、まずは使用する航空機のタイプだ。
整備や運用のコストを抑えるには、同一の機体をそろえた方が好ましいはずだが、ピーチは「エアバスA320」なのに対し、新ブランドは「ボーイング787」を使う。
「ボーイング787」の方が大型だ。航続距離は「エアバスA320」の約5500キロに対して、「ボーイング787」は1万キロを超える。それゆえに、新ブランドがターゲットとする路線はピーチよりも距離が長く、日本とアジアやオセアニアを結ぶ路線になりそうだ。
日本とオーストラリアを結べば片道9時間もかかるため、ピーチのような狭い客席では利用者は選んでくれない。だからこそ、ピーチより広い足元を確保して「LCCではない」と言い切るのは、むしろ当然のこと。それでも価格を抑えられるのは、高い経済性を実現した機体である「ボーイング787」を使うからだ。
新ブランドが主な利用者として想定しているのは訪日外国人だ。今後、新型コロナウイルスの新しい変異株が出現することがあるとしても、行動規制は趨勢として緩和に向かうと見込まれる。新ブランドは、日本を訪れる外国人観光客がいずれ回復することを前提としているのだ。
コロナ禍で大打撃を被った航空業界にとって、人々の動きが活発になるこの数年は復活のカギとなりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)