米欧日とロシアの「経済戦争」戦線ゆるがす ウクライナ侵攻で注目集まる「仮想通貨」の存在

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ロシアの制裁逃れ対策、各国で強化進むが...

   一方、国際社会が警戒するのがロシアによる制裁逃れだ。国際的な決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの有力銀行が排除されるなど対露制裁が強化される中、仮想通貨がその抜け道になるのではないか、という指摘が出ている。

   米欧日の当局もこうしたリスクは把握しており、対策に向け動きはじめた。欧州連合(EU)加盟国は3月9日、ロシアに対する追加経済制裁措置の一つとして仮想通貨の規制強化で合意。バイデン米大統領も11日、仮想通貨取引の監視強化を表明した。

   日本も金融庁と財務相が14日、仮想通貨の交換業者30社に対し、監視強化を要請。仮想通貨の支払先がロシア、ベラルーシの制裁対象と判明した場合や、疑いがある場合に支払いをせず、金融庁、財務省への報告するほか、政府が公表する制裁リストと照合することなどを求めた。

   ただ、各国の取引規制の実効性は不透明だ。

   仮想通貨はそもそも、米欧日の当局の監視が及ばないところでも盛んに取引されている。個人が、交換業者の管理しないウォレット同士で仮想通貨をやり取りする場合は事実上、監視することが難しい。そのため、これまでも犯罪辛みの資金移動、資金洗浄に利用されてきた。

   国によっても、法整備や本人確認の状況、取引の追跡体制などはばらばらで、「銀行と異なり、ロシア関連の取引だけを完全に規制することはできないだろう」(エコノミスト)との見方が一般的だ。

   とはいえ、「いくら仮想通貨を利用しても正規の国際貿易の決済など大規模な取引を代替させるのは難しいだろう」と、別のエコノミストは指摘する。仮想通貨で大金を動かしたり、こっそり現金に換えようとしたりしても、取引所や規制当局の目にとまり、おいそれとはいかないというのだ。

   また、政府や大企業の大規模な資金移動とは別に、ロシア人が個人資産を仮想通貨にしようとの動きも強いといわれる。ロシア侵攻開始当初、ルーブル建てのビットコインの取引が通常の2.5倍以上に膨れ上がったとの報道がある。一般市民の動きとは別に、ロシアの新興財閥オリガルヒにとって仮想通貨が制裁を回避するための安全な逃避先として使われているとの見方もある。

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