新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、リモートワークが本格化するなど、「働き方」は大きく変化した。なかでも打撃を受けたのは、新入社員をはじめとする若手社員たちかもしれない。リモートスタイルの社員研修の本格導入が進んだ世代だからだ。
そんなアフターコロナのこれからの時代、「できるヒト」のイメージもまた変わりつつある。では、これから活躍するのはどんな人材なのか? そして、企業として期待する人材をどんなふうに育成していけばよいのか?
今回、総合人材サービスのパーソルテンプスタッフの人事本部長・加瀬洋子さんと、人事戦略部長・星野達也さんにお越しいただいた。<前編>では、星野さんから同社の社員研修の動向、リモート研修と対面型研修のメリット、これからの研修のポイントを聞いた。
新たに「2年目研修」を取り入れた理由
――若手社員向けの研修では、どのようなことに取り組んでいますか。
星野達也さん「弊社では、人事部主催の若手対象の研修として、1年目、2年目、3年目に研修があります。1年目は、一般的な『ビジネスマナー』やロジカルシンキングなどの『ビジネススキル』にはじまり、『コンプライアンス研修』、『情報保護研修』などインプット中心のもの。それにくわえて、社会人として必要なマインドセットを学ぶ研修(『理念教育』など)をおこなっています。3年目は『キャリア研修』が中心です。これまでどちらかといえば、入社1年目の新入社員研修に注力してきました。しかし今年度(2021年度)は新たな取り組みとして、2年目研修を取り入れました」
――どういったねらいがあったのでしょうか?
星野さん「しっかり若手社員を育てていくことに加えて、コロナ禍の影響から『集まって会話する』機会が少なくなってしまったという背景があります。弊社では例年、100人程度の新入社員が入社します。コロナ前なら、対面で研修をおこなうので、同期入社の仲間と会って話す機会がありました。ところが、2020年度入社の2年目社員はリモート研修の本格的な導入とあいまって、採用時期から一度も会わない同期がけっこういる、そんな状況でした。そこで、対面による2年目研修を開催し、同期社員同士が『つながる場』としたいというねらいがありました」
――2020年度入社の方は、リモート研修を本格的に取り入れた最初の世代ともいえそうですね。
星野さん「補足しますと、コロナ前は、1か月かけておこなう全員参加の研修でした。また、その後も月1回くらいのペースで研修が続き、新入社員たちは組織を超えて仲間と会って、横のつながりを築く機会が多かったわけです。ところがコロナ禍で、一部の研修はリモート研修に代替しました。感染拡大を受けて、本来はみんなで意見を交わすことが大事な、マインドセットを学ぶ研修もリモートでせざるを得ませんでした。
やってみての率直な感想は、コミュニケーションがとりにくいところもあったな、と。対面の研修であれば、メインで話す人事担当者一人がいて、その周囲にはサポートする人もいます。そういう体制だから、受講者(新入社員)の反応や態度、どんな関心があるか、ということがなんとなく見えてくるものでした。リモート研修の場合はそこがやりにくくて、『ちょっとしたコミュニケーション』が難しかったのです」