物価高騰に対応するため追加経済対策
格好の「敵失」に、野党は攻勢を強めている。立憲民主党は3月22日、給付金の支給中止を政府に要請し、国会でも厳しく追及している。
逆風が強まる中、岸田首相も「経済や生活の状況全体を見る中で、必要かどうか検討したい」とトーンダウンした。政府・与党内にも「これほど批判が強い以上、当初案通りに実行するわけにはいかないだろう」(官邸関係者)と方針変更は「やむを得ない」との声が強まりつつあり、5000円支給案はいったん取り下げられる可能性が強い。
ただ、与党がこれで引き下がる気配はない。2022年度当初予算が3月22日に成立したことを受け、岸田首相は月内にも物価高騰に対応するため追加経済対策の検討を本格化させる方針だ。与党からは「少なくとも10兆円規模の対策が必要」など、大規模化を求める声が強まっており、参院選に向けたばらまき型の編成になることは確実だ。
「高齢者対策は形を変えて対策に潜り込ませればいい」。ある与党関係者こうつぶやいた。
こうした選挙狙いの思惑が見透かされたことが、5000円支給案が猛批判を浴びた最大の理由かもしれない。(ジャーナリスト 白井俊郎)