コロナ禍の外出自粛などによって営業社員のオンライン商談が広がるなか、実際のオンライン商談率は平均24.1%で、およそ4回に1回実施していたことがわかった。
求人情報サービスや、人手不足や業務効率に効果的な定型業務を自動化する「コボット」シリーズ(「面接コボット」「HRコボット」「不動産コボット」等)を展開するディップ株式会社が、営業社員の商談の実態を知るため、「デジタルツール導入時の課題」について調査。2022年3月18日に発表した。法人営業部門に所属する1000人の営業社員を対象に調査した。
理想のオンライン商談率は「50~70%」
調査によると、全体のオンライン商談率は平均で24.1%だった。内訳をみると、「0%(オンライン商談未実施)」が41.7%、「10~20%程度(対面商談メイン)」が22.2%、「30~40%程度(半分以上対面商談)」が11.5%、「50~70%程度(半分以上オンライン商談)」が15.1%、「80~100%(オンライン商談メイン)」が9.6%だった。
企業規模で比べると、オンライン商談率は大企業で29.5%、中小企業が18.7%で、約10ポイントの差となっている。しかし、「オンライン商談未実施(0%)」と答えた企業は、大企業で27.4%だったのに対して、中小企業は過半数を超える55.8%と、約30ポイントもの大差があった。
ちなみに、この調査では出社の割合についても聞いており、「テレワーク未実施」は、大企業で55.8%、中小企業で71.6%、全体平均で63.7%が毎日出社していることがわかった。
また、理想のオンライン商談の割合について聞いたところ、その平均は32.1%となった。「現在よりもオンライン商談の割合が増えてほしい」とのニーズがあることがうかがえる。
企業の規模別でみると、大企業で最も理想の割合が高かったのは、「50~70%程度(半分以上オンライン商談)」の36.0%で、3人に1人以上が半分以上のオンライン商談を理想としていることがわかった。
一方、中小企業ではオンライン商談の未実施が一番高く45.0%。あまりオンライン商談に積極的ではないのが現状のようだ。大企業のように、「50~70%程度(半分以上オンライン商談)」と答えた人は22.3%だった。
すべての商談をオンライン化することは望まない
現在、「80~100%(オンライン商談メイン)」と答えた人は、大企業(10.4%)も中小企業(8.6%)も10%前後だったが、該当する回答者を抽出して、理想の割合を割り出したところ、「80~100%(オンライン商談メイン)」を引き続き理想とする割合は約半数で、残り半数は、今よりも対面商談を増やしたい意向があることがわかった。
外出自粛が長引く中にあっても、営業活動は対面をメインに考えている人が少なくないとみられる。「今よりオンライン商談の割合を増やしたい」とのニーズはあるものの、すべての商談をオンラインにしたいニーズは少なく、バランスのいい割合を模索しているようだ。
新型コロナウイルスの流行前は、対面商談がメインだった人からすると、オンライン商談に課題を感じる部分が少なからずあると考えられる。その半面、もともとオンライン商談を積極的に取り入れていた企業はオンライン商談のほうがむしろ快適である様子もうかがええる。
では、どのようにオンライン商談を進めれば効率的にこなせるのか、「オンライン商談のコツ」について、商談前・商談中・商談後にカテゴライズして分けて聞いたところ、次のような声があった=下記の図参照。
<商談前>
「事前に内容と商談時間の上限を決めておくようにしている」(人材サービス、従業員規模500~999人)
「事前にアジェンダを相手に伝えること。PowerPointなどの活用」(製造業、5000人以上)
「その日話すことを簡単でも良いから資料化しておく」(不動産業、2000~2999人)
<商談中>
「アイスブレイクを入れるとスムーズに商談に入れることが多い」(その他、300~499人)
「カメラの前に商品を置くスペースを確保する」(製造業、50人未満)
<商談後>
「リモートでのコミュニケーション不足からの、誤解解消のため、デジタル議事録の共有化を実行」(情報通信、5000人以上)
「会議録画と議事録の照合、議題の解決宿題などの期日設定と 継続会議議題は次回の開催日を会議終了時に決定すること」(卸売業・小売業、100~299人)
オンライン商談を増やしたい一方で、「オンライン商談の難しさ」を感じており、ディップは「もし、オンライン商談に課題を感じているのであれば、自身の営業スタイルとすり合わせながら、いずれかのコツを取り入れると解決の一歩になるかもしれません」と指摘する。
なお、調査は2021年12月1日~3日に実施。全国の22~69歳の男女で、正社員かつ法人営業部門に所属(経営者・役員を含む)する大企業(従業員300人以上)と中小企業(300人未満)が対象。サンプル数h1000人(大企業が500人、中小企業500人)。