ウクライナ侵攻後の激変する世界...週刊ダイヤモンド「地政学超入門」! エコノミスト「世界戦時経済」、東洋経済「工場が消える」を特集

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日本から工場が消えていく

「週刊東洋経済」(2022年3月26日号)
「週刊東洋経済」(2022年3月26日号)

   「工場が消える」――。「週刊東洋経済」(2022年3月26日号)の特集タイトルが、ショッキングだ。脱炭素の流れによって国内工場の閉鎖ラッシュが進み、「輸出立国」という戦後日本の発展モデルが揺らいでいるという。

   基幹産業を襲う新たな「六重苦」について説明している。円安と資源・エネルギー高、世界的な産業の囲い込み、高まる経済安全保障の高まり、グリーン電力の不足、少子高齢化による人手不足、カーボンニュートラル対応、の6つだ。

   三菱自動車・パジェロ製造の工場閉鎖、日本製鉄・呉2基、和歌山1基の高炉休止など、ここ数年の自動車・鉄鋼、石油産業における生産拠点閉鎖・縮小が続いている。今年1月、国内石油最大手・ENEOSホールディングスが和歌山製油所の閉鎖を発表した。

   特集では、影響を受ける和歌山県有田市の苦境をルポしている。発表の翌日、和歌山県の仁坂吉伸知事が同社を訪れ、太田勝幸社長に直談判し、閉鎖後の雇用維持を求めた。和歌山製油所の出荷額は約4700億円。有田市全体の90%超を占める。協力会社を含めると社員は計1300人。「特産品のミカンの栽培などの産業はあるが、実際は製油所がこの町の経済のすべてだ」という地元の声を紹介している。

   ホンダが4輪車向けエンジン部品を製造する「パワートレインユニット製造部」がある、栃木県真岡市では25年中までに生産を中止するという発表に揺れている。900人の従業員は国内の拠点に配置転換するというが、全員が転勤に対応できるか不安視されている。

   脱炭素の流れは脱エンジンだけにとどまらない。「日本でクリーンエネルギーを調達できなければ輸出向けを海外生産にシフトすることになる」と自動車大手の幹部は話している。

   暗い話題が多い一方で、新たな動きも紹介している。川崎市には国内屈指の石油化学コンビナートがある。川崎市は水素利用やカーボンリサイクルを軸とした「カーボンニュートラルコンビナート」構想の実現に動き出した。記事では、今後コンビナートの選別が進むと見ている。造船業界の水素運搬やCCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)といった新技術の開発にもふれている。

   日本の基幹産業が細っていく事態にどう対応すべきか。寺島実郎・日本総合研究所会長は「構想力の欠如が製造業を没落させた」と指摘。要素技術を誇るのではなく、総合エンジニアリング力をつけることが不可欠だ、と話す。

   企業が変われば地域も変わる。工場など地方の現場に足を運んだルポを読むと、東京にいてはわからない経済の変化が伝わってくる。(渡辺淳悦)

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