ウクライナ侵攻後の激変する世界...週刊ダイヤモンド「地政学超入門」! エコノミスト「世界戦時経済」、東洋経済「工場が消える」を特集

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エネルギーだけではない食料危機の可能性も

「週刊エコノミスト」(2022年3月29日号)
「週刊エコノミスト」(2022年3月29日号)

   「週刊エコノミスト」(2022年3月29日号)の特集は、「世界戦時経済」。冒頭で、ロシア制裁のインパクトを取り上げている。「週刊ダイヤモンド」もふれている「サハリン2」からの撤退問題が悩ましいようだ。

   「サハリンからLNGが来なくなれば、日本では債務超過に陥るガス会社も出るだろう。欧米の石油メジャーに同調してロシアから撤退すべきではない」と、日本のガス大手首脳は話している。

   ロシアと中国を結ぶ天然ガスパイプライン「シベリアの力」が2019年に開通しており、今年2月にはさらなる供給量拡大で合意。モンゴル経由の「シベリアの力2」プロジェクトも進んでいるそうだ。

   世界経済の見通しについて、エコノミスト各氏が寄稿している。武田淳氏(伊藤忠総研チーフエコノミスト)は、「対ロ制裁によって原油価格は1ドル=120円台前後までの推移が見込まれ、成長率は3%台後半まで減速しよう。景気後退とまでいえないが、世界経済は強い停滞感に襲われることになろう」と見ている。

   阮蔚氏(農林中金総合研究所理事研究員)は、「ウクライナは小麦やトウモロコシ、ヒマワリの一大産地。ロシア産も含めて供給が途絶すれば、その影響は計り知れない。途上国に食料危機の可能性がある」と見ている。さらに、ロシア、ベラルーシは化学肥料の大輸出国であり、世界的な化学肥料不足を懸念している。

   このほかにも、「需給にひっ迫懸念のアルミ、ニッケルは混乱で取引停止」(本間隆行・住友商事グローバルリサーチチーフエコノミスト)、「脱炭素化はエネルギー確保の危機に直面。急速な移行は『一時停止』に」(杉山大志・キヤノングローバル戦略研究所主幹)などの見方を伝えている。

   国際情勢にかんしての興味深い論考も載っている。遠藤誉氏(中国問題グローバル研究所所長)は、中国はロシアと「軍冷経熱」で、軍事面では突き放すが、エネルギーと決済手段では支援すると見ている。中国はロシアを人民元圏に取り込むことを考えている。中国の台湾攻撃もない、と断言している。

   「米軍の参戦によっては負けるかもしれない台湾武力攻撃などの火中の栗を拾いに行く価値は習近平氏には皆無である」と書いている。きな臭い国際情勢の中で、一片の安心材料を見た思いがする。

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