きょうは50代のRさんがいらっしゃっています。
「コロナ禍で在宅勤務を続けていましたが、今は週に1~2回出社することもあります。ただ、社外とのやりとりは引き続きメールやオンラインが多く、『働き方変わったな』としみじみ実感しています。コミュニケーションの取り方が変化しているため、部下の指導などもやりづらいと感じることもあり、悩みもつきません。」
文字のコミュニケーションに必要な能力
日本には「場の空気を読む」という感覚があります。コロナ前の会議では相手の表情から相手の気持ちを想像し、その場の空気を感じることができた方も多かったと思います。しかし、リモートワークが進み、「空気を読むコミュニケーション」は難しくなったといいますよね。
もともとメールだけで仕事のやり取りをしていた人と、初めて対面で会った時「メールでは冷たい印象だったけど会ってみるとすごくいい人だった」という感想を持ったこともあるでしょう。表情や口調から伝わりやすい人柄や人間的な魅力ですが、なかなか文章だけでは相手に伝わりにくいもの。そこで、必要になってきたのが文字のコミュニケーションです。しかし、メールの内容や書き方によっては相手に悪い印象を与えかねません。
相手が受け取るのは書かれた文字情報の時代
たとえば、プロジェクトがうまくいっていなくて自分の機嫌がよくない時、「他の仕事が大変で・・・厳しい顔をしていたらごめん」と一言伝えるだけで、相手も「機嫌が悪いのは他の仕事のせいなんだ」と許容してくれることもあったでしょう。このように、相手に直接、言葉で伝えるだけで場の雰囲気は変わるものです。
しかし、メールやチャットなどの文字のコミュニケーションだと、相手が受け取れるのは書かれた文字からの情報だけです。もしメールとは直接関係のない一時的な感情で、怒りにまかせてメールを送ってしまったら・・・それが相手に伝わります。
Rさんが他の仕事のことで機嫌が悪かったとして、それに関係ない人に怒りの感情が含まれたメールを送ってしまったとしたら、相手はいい迷惑でしかありませんよね。しかも、メールは相手が消さない限り残ります。
そこで、メールを作成する時は、感情を落ち着かせてから書きましょう。人間は夜にネガティブな感情になりやすいとも言います。本当に緊急な要件以外、夜に文章を作成するのは避けたほうがよさそうです。
送る前に以下のことを確認し、メール内容を読み返してから送ってみましょう。
・伝えたいことは何か?
・読みやすいか?
お世話になった人へ文章のアレンジも大事
これから65歳、70歳と働く年数が伸びていきますよね。それに伴い、部署異動、雇用延長、転職など働き方が変わるタイミングも増えていくでしょう。そんな中、コロナ禍でなかなかリアルな送別会も難しいため、お世話になった方々にメールで挨拶する機会が増えていると聞きます。
働く期間が伸びたことで、これまでお世話になった方々と、またいつか仕事をする機会もあるかもしれません。やはり、つながりも大事です。そこで、親しい人やお世話になった人にはテンプレートでお礼を伝えるのではなく、自分でアレンジした文章を作成してみましょう。その人にお世話になった具体的なエピソードなども入れると、相手の記憶にも残りやすいです。
また、隣の部署で直接つながりはないけど、尊敬している人、いつか一緒に仕事をしてみたい人などと接点を持てるチャンスです。「会議をまとめるファシリテーション力なども機会があればコツを教えてください」と尊敬している理由を添えて送っておくと、顔を合わせた機会などに声をかけてもらえるかもしれません。このように、メールやチャットなどのコミュニケーションには一工夫が必要です。
(ひろ子ママ)