IMFによる中国の成長率予測...最新は4.8%どまり
ただ、先行きの不安定要素も多い。コロナ感染が再び広がる懸念は常にある。資源価格の上昇は企業収益を圧迫する恐れがある。
さらに、ウクライナ情勢は戦争の泥沼化の懸念もあり、一段の資源価格上昇、対露経済制裁などによる世界経済の減速の可能性があり、中国経済も影響は免れない。今のところ比較的落ち着いている中国国内のインフレも、資源価格の上昇などで加速し、金融緩和の足かせになりかねない。
実際、中国の成長率の予測は、中国のシンクタンクでさえ、ロシアのウクライナ侵攻前でも5%台前半と、政府が今回打ち出した目標の5.5%を下回る水準。国際通貨基金(IMF)の1月の最新予測では4.8%にとどまり、ウクライナ情勢も加味すると、一段の下押し圧力がかかるとみるのが順当だろう。
すべてに優先する習体制継続に向け、不動産バブルの退治など一定の痛みも伴う政策と、経済成長の両立を目指すが、経済運営のかじ取りは難しさを増している。(ジャーナリスト 白井俊郎)