みなさんこんにちは。馬医金満です。
岸田文雄首相の目玉政策の一つである「大学ファンド」が、本格的に始動しました。2022年3月4日から、公募を開始しています。
大学ファンドとは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)によって設立される基金の資金を運用し、利益を配分することで大学の財政・制度両面から強化、支援しようとする取り組みのことを指します。
そんな大学ファンドに期待したい半面、株式市場への影響が気になるところです。
日本の大学基金の規模、欧米とケタ違い
設立される基金への出資は、主に政府主体の財政投融資ですが、民間企業や大学からも出資を募っています。運用資金は4兆5000億円からスタートし、早期に10兆円規模の元本を形成する予定のようです。
大学ファンド設立の背景には、米国のハーバード大学やイエール大学、スタンフォード大学などの海外の名門大学が大規模な大学ファンドを保有することによって、その運用益を研究費に充てることができていることがあります。
具体的には、米ハーバード大学が4兆5000億円、イエール大学3兆3000億円、スタンフォード大学が3兆1000億円、英ケンブリッジ大学で1兆円規模にのぼります。
一方、日本では慶応義塾大学が730億円、早稲田大学が300億円、東京大学は150億円と、欧米の大学と比べるとケタが違います。欧米の数十分の一ほどの規模でしか運用できておらず、そのため十分な研究費が賄えていないという実情があるわけです。
ちなみに、この大学ファンドの運用方針として、運用担当者が「当初は平時よりは慎重に投資を開始する」と、最初は流動性の高い外債が中心の運用になると説明しています。長期的な視点から、安全かつ効率的に運用、分散投資することに加え、ガバナンス体制の強化など万全のリスク管理を行うとしています。
昨年7月に内閣府が公表している大学ファンドの参考ポートフォリオはグローバル株式が65%、グローバル債券が35%で、ここから導き出される「許容リスク」の範囲内で年率4.38%以上のリターンを目指すといいます。
ただ、この大型の大学ファンドが「クジラ」(株式市場で巨額の投資マネーを動かす存在)として、株価の底上げに寄与する可能性も考えられるので、大型株を中心に、その動向をウォッチしてみるのも面白いと思います。
では、また!
(馬医金満)