手のひらに収まる小さな「美術品」って何?! 神保町初!女性店主ほれ込んだ「豆本」専門店【Vol.27 呂古書房】

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「紙の宝石」と呼ばれる、麗しき蔵書票

   呂古書房では蔵書票も多く取り扱っている。蔵書票とは、本の見返しに貼って本の所有者を示すための小紙片。その世界もまた、面白い。票主が作家に依頼し、図柄や版種(木版・銅版・石版他)もさまざまで、希望の図柄(モチーフ)などが取り入れられている。著名な芸術家の作品もあり、現在は「紙の宝石」と呼ばれるほどの美術品になっている。

   呂古書房では平成11(1999)年、木版画家山高登さんの書票集「山高登開化書票集」を出版して好評を博した。「文明開化」をテーマにした山高氏のこの書票集は、木版画書票35葉が収まる贅沢な作りとなっている。

持ち主の名前を組み込んだ、贅沢な図案が集められた
持ち主の名前を組み込んだ、贅沢な図案が集められた

   豆本や蔵書票の緻密さ、美しさに触れると、当時の蔵書家たちの趣味に対する豊かな探求心を感じずにはいられない。 便利で簡単にモノを買うことができる現代では、味わい難いものだろう。武井武雄先生の作品を触る西尾さんの姿は、モノとしてのみならず、一冊に込められた熱量を丸ごと慈しんでいるように見えた。

(ながさわ とも)

なかざわ とも
なかざわ とも
イラストレーター
2016年3月学習院大学文学部卒。セツモードセミナーを経て桑沢デザイン研究所に入学、18年3月卒業。趣味は、宝塚歌劇団、落語、深夜ラジオ、旅行。学生時代より神保町に惹かれ、現在フリーペーパー「おさんぽ神保町」の表紙や本文のイラストを手掛けている。1994年、東京都生まれ。
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