リモートワークへの取り組みで「本物の上司力」を身につける
本連載の第1回と第2回では、リモートワーク下ではマネジメントの本質があらためて問われており、「支援型マネジメント」への転換が重要であることを述べました。そして、この変化は単にコロナ禍の下での特殊事情ととらえるのは早計であり、もともと求められていた変革が、5年から10年早く「待ったなし」で到来したものだ、とも述べました。
すなわち、これまでの終身雇用と年功序列が崩れつつある今、日本企業はもはや「ポスト」と「報酬」で同質のメンバーを動機づけるピラミッド組織では持続できません。ここから早々に脱し、「組織の目的」と「個々の尊重」で多様(ダイバーシティ)なメンバーを動機づけるサークル組織へと自己変革することが不可欠なのです=図参照。
そのことによって、一人ひとりの部下が主体的に、働きがいを実感しながら、チームで援け合って成果を上げる働き方が実現します。
リモートワークへの適切な対応は、各部下が遠隔でも自律的に仕事を進め自己成長できるチームへと生まれ変わるまたとないチャンスであり、試金石なのです。
コロナ禍のピンチをチャンスに変え、上司の皆さんが「本物の上司力」を身につけられることを心から願っています。
※マネジメント改革を実現する「上司力」の詳細をさらに詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授
人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。