余力がある中で「再成長」を目指す
富士通は3年前の2019年3月期にも45歳以上を対象に早期退職者を募集しており、このときは2850人が退職。今回はその3年前を上回る人数となっている。最終利益は2019年3月期で1045億円、2022年3月期で1600億円(予想)と、いずれも見事な黒字。
近年、早期・希望退職を募集する企業は赤字と黒字で2極化しているが、富士通は「余力がある中で再成長を目指す黒字企業の早期退職者募集」の代表格と言えようか。
SMBC日興証券は3月9日配信のリポートでは「(3年前に早期退職を)既に3000人規模で実行していたことから1000人程度、100億円程度の(コスト削減)効果にとどまると想定していた弊社予想を上回り、2023年3月期業績見通しが高まる点はポジティブな印象」と記した。
野村証券も早期退職者数発表を受けたリポートで「IT企業からDX企業へ変革を進める人事制度の一環」と指摘、「聖域なき施策の実行に伴い、収益性改善が続くと見込まれる点は評価できる」と歓迎した。